ロシアの侵攻で再評価? 矢作俊彦『あ・じゃ・ぱん』に「今こそ読まれるべき」

ウラジーミル・プーチン 

ウラジーミル・プーチン (C)Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock

世界中に緊張が走った、ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの軍事作戦決行の表明。ネット上でも「宣戦布告」などがトレンドに上がっているが、一部の人からは小説家・矢作俊彦の作品を再評価する声が上がっているようだ。

ウクライナとの対立によって、いつロシア軍が攻めて来てもおかしくはない状況となっていた昨今。そして、現地時間2月24日にプーチン大統領が事実上の宣戦布告をしたことで、本格的にウクライナへの進軍が開始されている。また数時間後には「ウクライナの軍の施設や飛行場を高性能の兵器によって無力化している」など、攻撃が始まったことも明かされていた。

激化するウクライナ情勢だが、宣戦布告がきっかけでネット上では〝第三次世界大戦〟の勃発を懸念する声も。そんな中、矢作の生み出した小説『あ・じゃ・ぱん』と、彼と漫画家・大友克洋の合作『気分はもう戦争』の2作品が注目を集めている。その理由とは、2作品とも〝戦争〟を題材とした作品だからだ。

ロシア宣戦布告で矢作俊彦が再評価?

「矢作の手掛けた両作品は、言わずと知れた名作として現代も語り継がれる作品。『あ・じゃ・ぱん』は戦後の日本が西側と東側に分断された設定のストーリーで、西側を米国と英国、東側をソビエト連邦が占領している日本をパロディー交じりに描いています。そして『気分はもう戦争』は、ソ連と中国による架空の戦争を題材に、日本人とアメリカ人の義勇兵3人の姿をオムニバス形式で描いています。どちらも旧ソ連のことを物語の主軸に置いているため、現在のウクライナとロシアの情勢に近しいものが感じられるのかもしれません」(漫画ライター)

この2作品を知る人は、ウクライナとロシアの関係が激化する今こそ手に取るべき本だと考えている模様。同作が直接的に現状を描いている訳ではないが、ネット上には、

《矢作俊彦を読み直したくなる夜だよな》
《矢作俊彦『あ・じゃ・ぱん』は読まなくちゃと思いながら置いておいた本なので、この機会で読まなくては》
《それにしても『あ・じゃ・ぱん』は卓見であり、達見だったなあ。今こそ読まれるべきではないか?》
《最近のニュースを見ていると、矢作俊彦・大友克洋「気分はもう戦争」という作品の中のコピーで、「たまには戦争だってしたいんだ、僕達は」というのがあって驚きながら読んだのを思い出します》
《ウクライナ危機。毎日のように報道されるロシア側の雑な偽旗作戦を見ていて既視感を覚えたのだけど、ようやく思い出した。「気分はもう戦争」に出てくる場面だ》

など、作品を再評価する声が続出している。

コロナ禍では『ショック・ドクトリン』に注目が集まり、昨今は名著を再評価する機運が高まっていた。奇しくも『資本論』も再評価の波に乗っている現代だが、矢作の作品も再び大きな注目が集まるだろうか。

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