映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『の・ようなもの の ようなもの』

個人的なことで恐縮だが、監督とは同世代であり、デビュー当時から知己があったせいか、インタビューの際も多いに盛り上がったり、私信のやりとりもしていた。

森田監督は競走馬を持つほどの競馬好き、スポーツ紙にコラムを持つほどパチンコ好きなだけに、その私信には、『秋本さんはなぜかヤクルトファン、グラマーセクシー好み、ギャンブル狂い、と何かと自分と共通する』ともあった。光栄に思っている。

森田監督の長編デビュー作『の・ようなもの』から35年経て、その続編のようなもの、がこの新作なのだ。内覧試写の段階で真っ先に見に行った。

杉山泰一監督は『の・ようなもの』以来、森田作品の助監督として支えてきた。まさに適任といえよう。

綾小路きみまろではないが“あれから35年”である。

『の・ようなもの』は新米落語家の泣き笑いを綴ったもので、渋谷・円山町という盛り場で生まれ育った森田監督らしい“遊び心”いっぱいのユニークな青春映画の快作だった。あの時の主人公、出船亭志ん魚(しんとと)はずっと行方不明の設定で、今回の主人公の若手落語家、出船亭志ん田(しんでん)が彼を探し出し、もう一度高座に上げようと奔走する。35年間の空白をしっかり埋める構成になっている。