朝ドラ『カムカム』の“伏線回収”に違和感「そんなの期待していない」

川栄李奈 

川栄李奈 画/彩賀ゆう (C)まいじつ 

2021年11月から放送されているNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。最終回が近付き、物語が佳境を迎えている最近の展開が、〝伏線回収〟だと話題になっている。しかし、その風潮に反論の声を上げる視聴者も多いようだ。

「カムカムエヴリバディ」は、母から娘、孫の3世代にわたってバトンを繋ぐ100年を描いた物語。昭和、平成、令和の時代を舞台に、上白石萌音、深津絵里、川栄李奈の3人のヒロインによって、家族の物語が描かれていく。

最終回まで1カ月ほどとなった現在は、初代ヒロイン・安子(上白石)の孫に当たる、ひなた(川栄)がメインヒロイン。ここ最近は、安子の白黒写真が出てくる様子や、ひなたの母親で2代目ヒロインのるい(深津)が岡山の雉真家を訪ねる様子を物語で展開していた。

『カムカム』に伏線の回収はない?

安子やるいにフォーカスした内容に、多くの視聴者からは「伏線回収だ!」といった大興奮の声が続出。しかし「カムカムエヴリバディ」を真剣に視聴しているファンからすれば、伏線回収は〝二の次〟。

《伏線は張ればいいってものでもないし、回収すればいいってものでもないと思うんだよなあ…》
《伏線回収? とんでもない! ただ丁寧に3世代の人生が紡がれているだけだから、そんなの期待していないですよ!》
《もちろん伏線回収が肝となる作品もあるかもしれない。でも本作に関しては〝見えないつながり〟を描いてきたものとして受け取ってますよ》
《カムカムは両親や祖父母の人生や思いを知らず知らずのうちに受け取って、バトンを渡して生きてきた…。そういう物語を丁寧に描いているだけでは? 伏線回収とか思って見てないのよ》
《伏線回収は見てて興奮するけど、ドラマ視聴の主軸はそこではないんだよ!》

といった困惑した声も相次いでいる。

「ファンが主張している通り、同作において伏線回収はなくても良い要素です。漫画やアニメが市民権を獲得し、SNSが発達したことにより、現在はネット考察が大ブームに。そのためドラマや映画も〝伏線回収こそ正義〟という風潮が一部に蔓延している状況です。本来、伏線は作品の肉付け程度の要素でしかありません。3人の人生を丁寧に描く、『カムカム』の家族ストーリーは、伏線など関係なく、作品の主題に〝紡ぐ〟というテーマがあるのです」(芸能ライター)

伏線回収が上手な作品こそ良作という風潮に乗らず、良質なドラマや映画が多く作られることを願いたい。

【あわせて読みたい】