『ゴールデンカムイ』の展覧会が炎上! 大日本帝国の軍服礼讃は不謹慎?

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4月28日から東京ドームシティ・Gallery AaMoで、大人気漫画『ゴールデンカムイ』の展覧会が始まった。先日最終回を迎えたということもあり、大盛り上がりを見せるかと思いきや、展示内容が物議を醸しているようだ。

『ゴールデンカムイ展』で問題になっているのは、作者の野田サトル氏が所有している当時の軍服の展示コーナー。

作中に登場する鶴見中尉のモデルになったとされる軍服が展示されているのだが、読売新聞社が運営するツイッターアカウント『美術展ナビ』が、この展示をアップ。《本当にカッコいい! テンション上がりますね~》とコメントすると、批判の声が相次いだのだ。

『ゴールデンカムイ展』の展示方法にも問題が…?

このツイートに対して、ネット上では、

《当時の軍服を手放しで「カッコいい!」って言う前に、ちょっとなんか考えなかったのか…? 考えなかったからツイートしてんだろうな…》
《アイヌ民族と大日本帝国の実物資料を何の注釈なく等価に陳列し、来場者に「どちらもかっこよい」と消費させる展示をつくってしまうこと、それ自体が明確な政治的主張となってしまうことを指摘する人は内部にいなかったのか》
《アイヌの文化で金稼いでるコンテンツの展示展で、侵略した側の軍服展示してかっこいいですねは余りにもさぁ…》
《大日本帝国軍の軍服を「本当にカッコいい!」と紹介していることに暗澹とした気持ちになる。作品自体は私もファンだし、展示会も意義があるとは思うが、歴史を骨抜きにした日本軍萌えを増やす盛り上がり方する危うさがある》
《軍服を基本的には「格好よく」仕立てるんだ。そしてゴールデンカムイのなかで鶴見中尉は「美しく格好もよいひと」として描かれていた。ただそれをアイヌを迫害した和人である私たちが「格好いい」とはしゃぐ姿はまさしく「侵略者」のそれなんだ》
《軍服カッコいい!みたいなノリには本当に慎重になった方がいい。いま、大日本帝国の軍服をライトに扱うこと・表層のみで美化することが、未来に対してどういう影響を及ぼすか、過去、現在、未来と真面目に向き合って考えて》

などの批判が殺到。「美術展ナビ」のツイッターに直接苦言を呈す人もおり、炎上騒動に発展している。

また、当時の軍服や装備などを〝キャラクターの所有物〟として展示する方法に批判の声も集まっており、

《実際の軍服や軍刀をフィクションの架空のキャラと結びつけてただ「カッコいい」とはしゃぐだけじゃいかんよね》
《このゴールデンカムイ展が、作者が手に入れた「軍人が実際に着ていた軍服」「侵略戦争 / 軍事国家の遺物」を、あきらかに「鶴見というキャラクターの軍服」として展示している(解説が小さく横にある)のが絶句もんなんだよ》
《これらは大日本帝国軍の軍服であり、キャラの衣装ではない。何に対してカッコいいと言っているのか考えて。キャラクターありきの展示方法にも疑問》
《この服をモデルに鶴見中尉の服を描いた、みたいな意味なのかな。展示の盛り上げ、ファンサービスでこういう言い方なんだろうか。思わず鶴見中尉が実在の人物なのか調べてしまいました》
《写真よく見ると「鶴見篤四郎の軍服」って説明で展示されてるのか…でもノダ先生コメだと「当時の肋骨服」ってなってるなら鶴見の軍服って書いちゃだめじゃない…?》

といった声も聞かれた。

先日に大団円を迎えた「ゴールデンカムイ」だが、大盛り上がりするはずの展覧会が、展示方法や宣伝で炎上してしまうとは…。漫画自体がいかに神経をすり減らしながら描かれたのかがわかる、皮肉な結果になってしまったようだ。

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