ソ連の軍事侵攻に無血革命! NHKの「ビロード革命」特集に称賛の声

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5月9日放送の『映像の世紀バタフライエフェクト』(NHK)では、ソ連に軍事侵攻されながらも20年間、抵抗を続けたチェコスロバキアの「ビロード革命(ヴェルヴェット・レボリューション)」を特集。丁寧に掘り下げられた内容に、ネット上で絶賛の声が相次いでいる。

1989年にチェコスロバキアで起こった「ビロード革命」は、アメリカのロックバンド『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』が大きく貢献したと言われており、番組では「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」のアーカイブ映像などを紹介。「ビロード革命」が起きたきっかけは、「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」の1枚のレコードだったという。

「ビロード革命」を語る上で外せないのが、ヴァーツラフ・ハヴェル。ハヴェルは「ビロード革命」の後に大統領に選出された人物で、「ビロード革命」の中心となった「市民フォーラム」を結成した人物だ。

革命は『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』がキッカケ?

もともとハヴェルは不条理劇作家として活躍していた人物。「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」がデビューして間もない頃にニューヨークを訪れ、ハヴェルはそこで彼らを知り、レコードをチェコスロバキアに持ち帰ったという。

ハヴェルが持ち帰った「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」のレコードは大量にコピーされ、チェコスロバキアで大流行。彼らに影響を受けたバンド『ザ・プラスティック・ピープル・オブ・ユニヴァース(PPU)』も結成された。

しかし、グスターフ・フサークの下で「正常化」路線が進められることに。これにより「PPU」はマネージャーの結婚式で演奏したことが理由で逮捕されてしまう。そんな彼らの逮捕に声を上げたのが、ハヴェルであった。

ハヴェルは市民たちに訴えかけ、デモを開始。規模を増すデモにより、ついにフサークが辞任し、ハヴェルが就任した。後にハヴェルは「1968年私はニューヨークから『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』のレコードを持ち帰りました。そのレコードは『PPU』という自由に満ちた若者たちを生み、彼らの逮捕から『憲章77』の人権運動が始まりました」とコメントした。

「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」と「ビロード革命」の関わりを貴重なアーカイブスを交え紹介していた同番組に対して、ネット上では、

《素晴らしすぎた。こんなに音楽が世界を変えることもあるのか…》
《映像の世紀シリーズでも屈指の出来栄えだったな》
《「自由」を巡る戦いの本質もさらりと描き出す。大人の仕事でした》
《放送を終えたあと、繰り返し繰り返し観て、ずっと泣き続けています》

などといった大きな反響が。内容もさることながら、ドキュメンタリー風に仕上げた制作陣の手腕にも感嘆の声が寄せられていた。

バンドが活動していた当時は鳴かず飛ばずだった「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」。2021年にトッド・ヘインズ監督によるドキュメンタリー映画が公開されたことなども踏まえると、再評価の流れが来ているのかもしれない。

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