『刃牙』はやっぱりギャグ漫画!? 作中屈指の“ツッコミどころ”3選

『刃牙』はやっぱりギャグ漫画!? 作中屈指の“ツッコミどころ”3選

『刃牙』はやっぱりギャグ漫画!? 作中屈指の“ツッコミどころ”3選 (C)PIXTA

格闘漫画の金字塔として有名な板垣恵介の『刃牙』シリーズ。しかしその作中には、勢いでは誤魔化しきれない“ツッコミどころ”が多数存在している。今回はとくにファンの間で語り草となっているトンデモ描写を3つ、ご紹介していこう。

<その1>首に通っている視神経「紐切り」

まず1つ目はシリーズ第1作『グラップラー刃牙』に登場した、「紐切り」という技。“斬撃拳”と称される鎬流空手の使い手、鎬昂昇の必殺技だ。

彼は手刀・抜き手により、刃物で斬りつけたかのようなダメージを与えることを得意としている。「紐切り」もその一種で、相手の皮膚を切り裂き、血管・リンパ節・神経などを直接断つというものだった。

なによりツッコミを入れたくなるのが、そんな鎬昂昇の初登場シーン。地下闘技場ですれ違ったレスラーに対して、「紐切り」を振るうのだが、人体の理屈を超えた現象が起きる。首に指を突っ込むことで、“視神経”を切断したのだ。

首筋を切り裂かれたレスラーは、「どこにいるンだ林…」「まっくらでなンにも見えねェよ」と、視力を失ってしまった様子。もちろん視神経は眼球から脳へと至る神経なので、首を通っているわけではない。

<その2>実は全くの造語だった「マックシング」

次も同じく『グラップラー刃牙』から。同作のラスボス、ジャック・ハンマーが使う「マックシング」というものだ。

ジャック・ハンマーは最大トーナメント編に登場する格闘士の1人。「今日強くなれるならば明日はいらない」を信条とし、狂気の沙汰ともいえるハード・トレーニングと命を削る違法薬物のドーピングにより、鋼の肉体を得た男だ。

彼はトーナメントの決勝で刃牙と対戦すると、試合中に嘔吐。明らかに胃の容積を超えたものを吐き出し、肉体もみるみる萎んでしまう。しかし彼はそれにより弱くなるどころかパワーアップ。無駄なく引き絞られたダイヤモンドの如き肉体を手に入れたという。

作中の説明によると、この状態は薬物の過剰摂取を肉体が克服した「マックシング」とのこと。だが、実は「マックシング」という言葉は実在せず、全くの造語だ。最大を意味する「Max」と、進行形を意味する「ing」を組み合わせて作った言葉だろうか。

いかにも実在しそうな単語に騙された読者は数知れず。今でもネット上の大手質問サイトでは、「『マックシング』は実在するのか」と問う、ピュアな読者の姿を見ることができる。

<その3>“毒が裏返る”シーン

作中最大の名場面にして、ツッコミどころでもあるのが、第2作『バキ』に登場する“毒が裏返る”シーンだ。

一連の出来事を振り返ると、まず刃牙は猛毒の砂に手を漬け込むことで生まれた「毒手」の攻撃を受け、体調を崩し、やせ細っていた。このままでは生命を落としかねないと感じた烈海王は、刃牙の闘争本能を呼び覚ますため、彼を激しい戦いへと導く。

その戦いで、さらに別の「毒手」を受けてしまった刃牙。恋人である梢江は涙を流すのだが、刃牙の頬に雫がこぼれ落ちた瞬間、刃牙は突如として復活。烈海王いわく、戦いによって分泌された「脳内麻薬」と、梢江の涙がもたらした「多幸感」、そして2種類の毒素が化学反応を起こした結果、「毒が裏返った」という。

普通に考えれば二度の毒によって死亡しそうなものだが、なぜか怒涛の勢いで復活を遂げることに。それっぽい理屈は書いてあるが、冷静になって考えるとシュールな展開だ。

ちなみに刃牙は毒を克服した後、14キロもの重量の砂糖水を飲むことで、よりパワーアップした肉体を手に入れる。人間の体が1度に吸収できる水分をはるかに上回っており、こちらもツッコまざるをえない。

いずれの描写も現実にはありえないものだが、実際に読んでいる最中は、その勢いに騙されそうになってしまうのだから恐ろしい。結局漫画に必要なのは論理ではなく、ライブ感ということだろうか…。

文=「まいじつエンタ」編集部

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