任天堂&ソニーとは格が違う! セガ『ドリームキャスト』のヤバすぎる“迷作”3選

任天堂&ソニーとは格が違う! セガ『ドリームキャスト』のヤバすぎる“迷作”3選

任天堂&ソニーとは格が違う! セガ『ドリームキャスト』のヤバすぎる“迷作”3選 (C)PIXTA

今や“没落したゲーム会社”の扱いを受けているセガだが、最盛期にはチャレンジ精神に満ちた作品を数多く手がけていた。今回は「ドリームキャスト」に焦点を当て、キワモノでありながら名作でもある3つのタイトルを振り返ってみよう。

ほかのゲームハードにはない着眼点

<その1>『シーマン~禁断のペット~』
「ドリームキャスト」の代表作とも言える『シーマン~禁断のペット~』は、それまでの育成ゲームの常識を覆す作品だった。ジャンルとしてはありがちだが、音声認識による会話というシステムと、かわいくもなんともないオジサン面の「人面魚」を育てるというアイデアによって業界に衝撃を与えた。

音声認識は今や珍しくもない技術だが、1999年にリリースされた家庭用ゲームということを考えると、あまりにも早かったと言えるだろう。しかも豊富な会話パターンが用意されており、シーマンがプレイヤーの性格を把握して新たな会話が増えるなど、画期的な仕組みとなっている。

とはいえ可能な会話は限られており、プレイヤーの発話を誘導するために、シーマンの性格が気難しいものになったそう。しかしシーマンはふてぶてしい性格の反面、毎日世話しないと死んでしまうという貧弱な生き物。それが逆にいい味を出しており、ネット上では《憎たらしくもキモかわいいのがクセになる》《かわいくないのが逆に愛着がわく》とも評価されていた。

<その2>『ROOMMANIA#203』
「ROOMMANIA#203」におけるプレイヤーの目的は、アパートの一室に住み着く神となり、1人暮らしの独身男・ネジを見守ること。壁に空いた穴から始まる隣人との交流、過去から届いた謎のメールなど、不思議な現象に見舞われるネジを、陰ながらサポートしていく。

神はネジと会話できないが、ちょっかいを出したりイタズラを仕掛けたりすることで、その人生を少しだけ変えられる。何もせず平凡な人生を送るネジを、神の力で波乱万丈なものに変えてしまうことも可能だ。

現実的なシナリオだけでなく、妙にSFチックなものやホラーめいたものまで、ジェットコースターのような展開が醍醐味。トンデモな出来事の連続だが、プレイヤーからは《ユーモアと切なさの掛け合いが絶妙》《シナリオが秀逸で何回やっても泣く》と高く評価されている。

現代なら炎上必至? やりすぎだった迷作

<その3>『セガガガ』
「ドリームキャスト」の作品はいい意味で尖っていたものばかりではなく、賛否両論を呼んでしまった作品も多い。セガが生み出したあまりにクセが強いメタフィクション、それが『セガガガ』だ。

その設定は、30年も「ドリームキャスト」を売り続けた未来、シェアが激減したセガを救うために、主人公が立ち上がる…という内容であり、かなりぶっとんでいる。

「ドリームキャスト」衰退期で開発されたためか、自虐めいたストーリーが見どころ。プレイヤーはゲーム開発者となり、プロジェクトを成功に導くのだが、そこで登場するセガ社員のセリフは、かなりブラックだった。

1番の驚きは、実際のパワハラ問題をネタにした点。当時のセガには、窓際社員を自己都合退職させるための部屋「パソナルーム」が存在した。この部屋は後に裁判にまで発展する問題となったが、同様の部屋が「セガガガ」にも登場し、笑えない騒ぎに。いろいろな意味で黒歴史であり、時代が違えばジョークでも使えないネタだっただろう。

やりすぎが裏目にでるほど、良い意味でも悪い意味でもチャレンジ精神にあふれていたセガ。あの頃のようなゲームが出ることは、もう2度とないのかもしれない。

文=野木

【画像】

kohanova / PIXTA