日本のゲーム業界が『原神』を作れなかった理由は? 萌えオタをナメた結果“覇権”は中国に…

日本のゲーム業界が『原神』を作れなかった理由は? 萌えオタをナメた結果“覇権”は中国に…

日本のゲーム業界が『原神』を作れなかった理由は? 萌えオタをナメた結果“覇権”は中国に… (C)PIXTA

世界に誇る日本の文化的魅力として、「萌え文化」が認められるようになって久しい。今でも漫画やアニメの業界では、国産の優れた作品が次々と生まれており、世界中でヒットを飛ばしている。しかしなぜそんな萌え大国でありながら、『原神』を生み出せなかったのだろうか。

かわいい×面白いを追及した「原神」

2020年9月に中国のゲーム会社からリリースされた「原神」だが、当初は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』など既存タイトルからの“パクリ”が指摘され、パッチワークのようなゲームなどと批判されていた。

しかしスマートフォンで遊べるゲームとして、他の追随を許さないクオリティーを誇っていたため、瞬く間に大ヒット。その後も数々の追加コンテンツを実装し、ゲームとしての独自性を磨いていったことで、ほとんど汚名を払拭しつつある。

そんな「原神」が流行った理由としては、オープンワールド型RPGとして洗練されたゲームデザインや、サブスク型の課金サービスといった流行のマネタイズの導入、クロスプラットフォームプレイの対応などが挙げられがち。ただ、結局のところ一番大きな理由は、“キャラが魅力的だった”ことに尽きるだろう。

いわゆる「セルルック」などと呼ばれるアニメ調の3DCGでデザインされたキャラクターを操作し、綺麗で広大なマップを歩き回れる──。これこそが、「原神」の最たる魅力。しかし、もともとセルルックのかわいいキャラクターは、日本の得意分野だったはずだ。

結論から言うと、日本で「原神」が生まれなかったのは、萌えを好むオタクたちを業界が“ナメていた”結果だと思われる。

オタクをATMにしてきたソシャゲ業界

実際に買い切りのCS向けタイトルでは、国内産ゲームでもアニメ調3DCGを活用した作品が多い。『CODE VEIN』や『SCARLET NEXUS』、『アトリエ』シリーズなど…。とくに最近の『GUILTY GEAR』シリーズは、“3DCGを手描きアニメっぽく見せる技術”の1つの到達点と言えるだろう。

そんなセルルック3DCGの技術を応用して、ソシャゲでも面白いゲームを作れば、日本でも「原神」に勝るとも劣らないゲームが作られそうなものだ。

しかし実際に国内で作られているのは、キャラクターがかわいいだけで、ゲーム性が低いソシャゲばかり。“イラストの力”さえあれば、オタクは課金するという想定のもと、キャラクター商売に精を出している。

日本で「原神」のような作品が生まれなかったことについて、ゲーマーからは《日本のゲーム会社は楽に儲かるソシャゲメインだからな》《日本は楽して儲ける 海外は金かけて開発して後で回収》《結局日本が強かった分野全部使われてるんだよな》といった声が。

また、《ポチポチゲーに大金つぎ込むやつが悪い》と、ユーザー側の責任を指摘する人もいるようだ。

CS向けタイトルが進歩を続ける中、いつまでも停滞気味で、ゲーム性を開拓しようとしないソシャゲ業界。『ウマ娘 プリティーダービー』でようやく一歩進んだ感はあるが、それでもまだまだ「ソシャゲにしては面白い」の域は出ない。

日本のお家芸である“萌え”を活かした、面白いタイトルが開発されることを祈るばかりだ。

文=大上賢一

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