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社主、社長を含む5人の社員が拉致された香港の『銅鑼湾書店事件』。4人は香港に戻ったが、依然ひとりは中国国内に拘束されているとみられる。
香港のコーズウエイベイに集中していた中国批判出版社の急先鋒『内部書店』も銅鑼湾書店に続いて巧妙な手口でつぶされ、中国共産党政権の内幕を伝えてきた香港の月刊誌『争鳴』と姉妹誌『動向』も廃刊に追い込まれている。
香港の有力紙『サウスチャイナモーニングポスト』は中国共産党の意を忖度したアリババが買収し、中国共産党批判のトーンが希薄になった。
このように、中国の“支配”は着々と進んでいる。
ところで、留学生と移民から端を発し、観光客が増えたところで資本投下と軍属派遣をする“中国微笑み侵略”の餌食になりつつあるオーストラリアでも、同様の言論弾圧が起きた。
中国批判の書籍が出版停止に
「オーストラリアの言論界にも商業主義的損得勘定が支配し、大口の投資先、金主元を刺激するような中国批判は極端に抑え込まれています。反中国だった前首相が辞任すると、現政権はぐっと中国批判を抑えるようになったばかりか、投資を歓迎するあまり、中国敵視政策は引っ込められました。そもそもオーストラリアでは、政治献金を外国から受け取っても合法であり、政治家への外国ロビーからの贈り物も容認されていますから、中国はやりたい放題です」(在豪州日本人ジャーナリスト)
シドニーのチャイナタウンへ行くと、華字紙があふれ、論調は新華社の情報を転載している。そこへ中国批判の書籍が土壇場で出版停止となる“事件”が起きた。
「その出版妨害事件は、チャールズ・スタート大学のクリーブ・ハミルトン教授が、『複数の大学には中国からの巨額資金が流入しており、学術分野において、中国の体制批判ができないような北京の指令を受けた“見えない手”が忍び寄っている』という内容の出版を企図したのですが、予定していたアレン&アンウイン社は、『この本を出すことによって将来多大な損害を被りそうだ』と出版を断ったのです」(同・ジャーナリスト)
日本では天安門事件以後、中国批判は少なくとも出版界ではタブーではなくなり、2003年の『反日暴動』以後は、書店に中国批判本があふれ出た。むしろ直近の中国の動きは、左派系有識者やジャーナリストを動員し、これらを“ヘイト本”扱いにして影響を除去しようとしている。例えば中国のバブル崩壊を喧伝する媒体は多いが、どれも“見当違い”という切り口での逆襲だ。
いずれにせよ南シナ海や尖閣列島を見れば、中国の正体は一目瞭然である。
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