堺雅人と高畑充希の夫婦による「愛は勝つ」ファンタジー映画

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『DESTINY 鎌倉ものがたり』

配給/東宝 新宿TOHOシネマズほかにて全国公開中
監督/山崎貴
出演/堺雅人、高畑充希、堤真一、安藤サクラ、田中泯ほか

お正月はファンタジー映画が一番かも知れない。スレたオヤジの僕でも、人並みにそう思う。でも猫もシャクシも“スター・ウォーズ”っていうのも何だかなあ、という貴女に“プランB”としてこの邦画はいかがか。監督は『三丁目の夕日』シリーズの山崎貴で、スタッフも“三丁目”組が多い安心マーク付き。原作も同じ“西岸良平ワールド”再びである。もちろんCG、SFXてんこ盛り!

古都・鎌倉が人間界と霊界の垣根が希薄な異空間の街だった、という設定に乗れればダイジョーブ。あとは堺雅人・高畑充希による“年の差夫婦愛情物語”を存分に楽しめるという仕掛けだ。ボクは今は亡き“霊界案内人”丹波哲郎御大の金言「あの世とこの世は地続きだ」が頭に残っているので、この異空間にスンナリ。鎌倉に住む小説家が若い新妻をあの世に連れ去られそうになり、時には魔物たちの力を借りながらも、取り戻そうとする“愛は勝つ”ファンタジー。ねっ、お正月にピッタリでしょう。

 

個性的な「死神」と「貧乏神」

この映画で一番の魅力は個性的な魔物たちの造形だろう。特に秀逸なのがふたり。まず安藤サクラが演じる“死神”これまでのイメージを覆し、プラチナブロンドのショートカットのいでたちで、一見、気のいいオネーさんって感じ。「死ぬ予定じゃない人が死ぬと計算狂って大変なんス」とグチるあたりがいかにも中間管理職風でオカシイ。監督はテレビドラマ『ゆとりですがなにか』の彼女が大好きだそうで、あの感じで魔物になったニュアンス、だそうな。『ゆとりですが――』を毎週欠かさず見ていたボクは、一発で得心した。

もうひとりは田中泯が演じた“貧乏神”。こちらはいかにものイメージのいでたちだが、これまでニコリともしない剣豪や頑固者などが多かったが、今回は実に愛嬌のある貧乏神で、この意表を衝いた配役は絶品であった。魔物役の造形では『ゲゲゲの鬼太郎』(2007年)で“ネズミ男”になり切っていた大泉洋に匹敵するほど。

“あの世”の描き方もユニークで、お花畑や雲の上みたいなイメージではなく、外国の都市の山肌に立つおびただしい集落みたいな雰囲気を日本の長屋風にした“イイ感じ”の世界。あの世に行くと、ここで一休みして、また次の時代の誰かに“転生”するのだそうな。

何だかあの世も悪くない、と思ったりしてはイカン。自殺などもってのほか。「あの世の計算が狂う大罪なんだな、これが」と生前インタビューしたときに丹波御大も語っていた。そのつもりでよろしく。

 

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