ジャンヌ・ダルクに祭り上げられた台湾のアイドルの困惑

「台湾総統選のさなか、民進党が5%の票を上乗せしたと分析されているのが『周子瑜事件』です。16歳の周子瑜(ツウィ)というアイドルが、韓国で『TWICE』というグループの一員としてデビューし、中国でも大人気になった。その彼女が昨年、中国のテレビ番組の中で台湾を実体的に統治する『中華民国』の旗を振ったことが騒動の発端でした。台湾出身で北京在住の黄安という往年の男性歌手が『彼女は台湾独立派だ』と批判したことで、TWICEには中国のファンからの批判が殺到し、事務所がツウィの謝罪動画を投稿するまでに問題が拡大した。これに対し、台湾の人々が反発。『中国の圧力で頭を下げた』などの意見が溢れ、反中国のうねりができたのです」(日本在住の台湾人ジャーナリスト)

アイドルがただ旗を振っただけで謝罪させられるとは、ただごとではない。

「尖閣諸島、台湾統一、南シナ海の埋め立ては中国の覇権拡張の3本の矢ですが、その中で最も重要なのが台湾統一です。台湾の独立派(内省人)は、これまで中国の統一路線に手も足も出なかった。なぜなら国民党(外省人)が中国の統一計画に従って“買票”や”作票”などの選挙妨害を行い、民進党を蹴落としてきたからです」(同)

事件は『16歳の女の子が中台の政治的な騒動に巻き込まれた』という論調で世界中に配信されたため、中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報までもが火消しに追われた。

渦中のツウィはいま、台湾のジャンヌ・ダルクと呼ばれている。

 

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※ KittyBear / PIXTA