映画『SLAM DUNK』に手のひら返し! 叩いていたのは古のオタクだけ?

『SLAM DUNK』新装再編版 1巻(井上雄彦/集英社) 画像:まいじつ

2023年公開予定の『劇場版シティーハンター』のビジュアルが12月2日に解禁。併せてメインキャスト声優の継続が発表された。

これに対し、大幅な声優変更で大ブーイングが巻き起こっていた新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』を引き合いに出す声が広がっている。

「シティーハンター」は北条司が手掛けるアクション漫画。これまでに4度アニメ化されたことに加え、3度のテレビスペシャルを放送。2019年にはフランスで実写映画化され、社会現象になった。

今回の劇場版は今年4月に制作が発表されていたもので、この度、新情報が明らかに。

これまでと変わらず主人公・冴羽獠役は神谷明が務め、エンディングテーマは『TM NETWORK』の『Get Wild』が採用された。さらに神谷だけではなく、美樹役に小山茉美、野上冴子役に一龍斎春水、海坊主役に玄田哲章、槇村香役に伊倉一恵と、1987年に放送されたテレビシリーズと同じ顔ぶれが勢ぞろいした。

その一方、3日に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』は、旧作からキャストを一新するという大胆な方向に出ていたため、口さがない「シティーハンター」ファンからは

《やっぱのっぴきならない事情じゃない限り、声優は変えちゃダメだな シティーハンター最高だわ》
《劇場版スラムダンク制作陣に格の違いを見せつける劇場版シティーハンター制作陣www》
《劇場版シティーハンターの情報解禁を見て改めて思った。劇場版スラムダンクでも多くのファンが望んでいたものはコレだったんだよ…》
《スラダンが発表の仕方や後出し声優総入れ替え、制作陣の馬鹿にしたようなインタビューのおかげで炎上した後にシティーハンターが声優続投で新しい映画やります!って早々に発表してるの笑う》

など「SLAM DUNK」を揶揄する声が上がっていた。

たしかに「THE FIRST SLAM DUNK」は情報解禁などのタイミングで、批判の声が多くあった。しかしこの声優変更は、本当に失敗と言えるのだろうか。

既存声優に固執するシティーハンターファン

「むしろ『THE FIRST SLAM DUNK』の声優変更は、成功といっていいでしょう。今回新たに起用されたのは、近年大ヒットした『ヒプノシスマイク』の声優でもある木村昴と神尾晋一郎。若年層や女性からの人気が高い声優を起用することで、新たなファンを取り込むことができます。『週刊少年ジャンプ』の漫画が原作で最近アニメ化し、大ヒットを記録した『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』はそのような手法で成功していますからね」(アニメライター)

また『SLAM DUNK』の原作者で「THE FIRST SLAM DUNK」監督の井上雄彦は、こう語っている。

「公式サイトのインタビューで井上は、過去のアニメ声優に対し、《あの何年間かのテレビアニメで声優さんたちは、プロフェッショナルとしてキャラクターと向き合い、それぞれのやり方でキャラクターを育ててこられたと思うんですね》《もしも今回お願いしたら、その方たちのお芝居をいったん捨ててもらわないといけなくなる。かつて育てられたキャラクターをいったん捨ててもらわないといけないことになっただろうと思うんですね。それはできないなというのがあって》とコメントしています。今回の声優変更は、無駄な改悪ではなく、既存声優のブランディング崩壊をも防ぐという、計算され尽くした戦略なのです」(同ライター)

「THE FIRST SLAM DUNK」は公開直後から絶賛の声が相次いでおり、SNSには《お金をドブに捨てるつもりで行きました。次は沼に納めるつもりで観に行こうと思いました》などと、手のひら返しの声が多数見受けられる。

声優を変更するかしないかは、その作品のブランディング次第。声優を変えるも変えないも自由だが、いつまでも古い認識に囚われているようでは、ヒット作を廃れさせる一因になりかねないという点は共通しているだろう。

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