美人はお笑い芸人に向いてない?『THE W』で浮き彫りになった日本人の偏見

(C)Luis Molinero / Shutterstock

女性芸人ナンバーワンを決めるお笑い賞レース『女芸人No.1決定戦 THE W』が12月10日に開催され、お笑いコンビ『天才ピアニスト』が栄冠を掴んだ。

誰もが納得の優勝のように思えるが、女性芸人に対する〝偏見〟が浮き彫りになったとも指摘されている。

特にそれが垣間見えたのが、Bブロックだった。「天才ピアニスト」は、上沼恵美子のモノマネでお馴染みのボケ・ますみが、図々しいおばちゃんに扮したコントを披露。

おばちゃん(ますみ)は他人の喧嘩が大好物で、喧嘩を肴にして酒を飲むという設定。図々しいおばちゃんを見事に演じきり、審査員から絶賛された。

対するお笑いコンビ『スパイク』は、居酒屋で働くプリンセスという設定のコントを披露。

2014年、2015年の吉本べっぴんランキングで1位を獲得したボケ・小川暖奈がプリンセスに扮し、メルヘンな言動を繰り返すネタだ。

その結果、7票vs0票で「天才ピアニスト」が圧勝。審査員は、二組とも若干似た毛色のネタだったが、ますみのおばちゃんの方が仕上がっており、より面白かったとコメントしていた。

「ここで気になるのは、小川が〝美人過ぎた〟という点です。上沼恵美子風のおばちゃんがちょけることはすんなり受け入れることができますが、美人がちょけることはすんなり受け入れられない。

結局、この差が勝敗を分けたと言われていますね。どれだけ〝ルックスを気にしない時代にしよう〟と世界が動いても、長年根付いたこの感覚を、簡単に覆すことはできません」(芸能記者)

日本人に染み込んでしまった女性芸人への偏見

事実、今回の『THE W』では、世間的に美人と評されている女性芸人が、次々に1stラウンドで敗退している。

ではなぜ、男性芸人はイケメンでも許されるのか。

「『ドリフターズ』の面々は、若い頃はハンサムで普通に女性人気がありました。『ウッチャンナンチャン』の内村光良も若い頃はかわいい系イケメンで、女性人気が凄まじかった。つまり、イケメンがお笑い芸人をすることは当たり前なのです。

一方で、女性芸人は自らのルックスを自虐してネタにしてきた。これによって、女性芸人といえば容姿自虐。美人がお笑いを披露する・ボケるという感覚を、日本人は持っていないのです。

女性芸人はこれから何十年とかけて、この価値観を根本から変えていく作業から始めなければならないので、美人はかなりのディスアドバンテージです。『ルッキズムをやめよう』の一言で解決できるような簡単な問題ではありません」(同・記者)

長年かけて構築され、染みついた価値観を変えるのは容易ではない。

上辺だけでなく、本当の意味で偏見なく女性芸人が評価されるのは、20~30年後になるかもしれない。

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