「古い土地」の相続で増えているトラブルは?

ABC / PIXTA(ピクスタ)

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土地を相続したものの、その土地がさまざまな理由で活用できないという相談が増えているらしい。東京都内のある弁護士がこう話す。

「最近の相談ではこんな話があります。亡くなった親が戦後すぐに貸した土地には、借主が家を建てていまも住んでいるのですが、口約束で土地を貸していたために賃貸契約書がないのだとか。3年前から地代が不払いになっているため、わたしのところに相談に来たのですが、彼は実は更地にして退去してほしいと言います。その土地にアパートを建てたいのだとか。団塊世代の相続だと、こんなことがしばしばあります」

『賃貸借契約』は、借主が貸主に賃料を支払うと約束した契約だ。口頭による合意でも法的に有効に成立するものの、契約条件などについて争いになった場合、合意の内容を証明することが難しくなるので、書面にするのが一般的だ。契約書がなくても継続的に地代を支払っていた実績などにより、合意の内容をある程度まで証明することは可能だろう。

では、地代の不払い分を払ってもらうにはどうしたらいいのだろうか。

「話し合いや裁判外紛争解決機関(ADR)による解決を目指す場合もありますが、わたしの相談者は土地建物の明け渡しを求めたいということなので、借主の同意を得るのは難しく、訴訟を提起して、土地建物の明け渡しとともに、延滞賃料の支払いを求めることになります。延滞賃料の方は、賃貸借契約の内容を証明できれば勝訴するでしょうが、勝訴判決を得ても、借主に資力がない場合は、“絵に描いた餅”になるかもしれません」(同・弁護士)

 

賃貸借契約はどういったときに解除になるのか?

賃貸借契約であっても、ほかの契約と同様、当事者の一方に債務不履行があれば賃貸借契約を解除できるのが原則だ。

ただ、借主が賃料を1回でも滞納したら賃貸借契約を解除できるのかというと、そうではない。賃貸借契約のような継続的な契約関係においては、売買契約のような一回的契約よりも高度な当事者間の信頼関係を基礎としている。そのため、賃貸借契約の解除が認められるには、単に債務不履行があったというだけでは足りず、当事者間の“信頼関係を破壊”するといえるような事情がなければならないとされている。日本では戦後、借主の権利保護の観点から、容易に追い出されることのないように法整備されているのだ。

「どの程度の賃料滞納があれば信頼関係を破壊したといえるのかについては、法律上の明文規定はなく、個別や具体的に判断せざるを得ません。賃料不払いの回数、不払いの額、借主の態度、貸主の態度などの諸事情が判断材料となりますが、実務上3カ月の賃料滞納がひとつの目安となっており、6カ月程度の賃料の滞納があれば、よほど特別な事情がない限り解除が認められているようです」(同・弁護士)

 

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