これから売れるジャンプ漫画の主人公は? おバカ系と天才系の2大タイプから紐解く

これから売れるジャンプ漫画の主人公は? おバカ系と天才系の2大タイプから紐解く

これから売れるジャンプ漫画の主人公は? おバカ系と天才系の2大タイプから紐解く (C)PIXTA

少年漫画の主人公には、さまざまなタイプが存在する。その中でもとくに人気があり、古くから続く二代巨頭となっているのが「おバカ系」と「天才系」だ。

それでは令和の今、時代の最先端をいく漫画の主人公にふさわしいタイプは、一体どちらなのだろうか。

ジャンプ漫画を彩る主人公たち

少年漫画の総本山である『週刊少年ジャンプ』の歴史から、主人公のタイプについて振り返ってみよう。

ヒット作に登場する主人公を見てみると、大まかにいえば1970年代はスポーツ根性漫画が流行り、熱血漢な主人公がもてはやされていた。

そして1980年代からは『キン肉マン』のキン肉スグルを筆頭として、「おバカ系」が人気となっていく。

「おバカ系」とは、ギャグ漫画のようなノリで天然っぽい言動を繰り出す主人公のこと。

それでいて、シリアスな場面ではかっこよく決めるというギャップを見せるのが定番だ。

多少キャラクターにブレはあるものの、『ドラゴンボール』の孫悟空、『ジャングルの王者ターちゃん』のターちゃん、『SLAM DUNK』の桜木花道、『ONE PIECE』のルフィ、『HUNTER×HUNTER』のゴン、『NARUTO-ナルト-』のうずまきナルトなど、数々のビッグスターの名前を挙げられるだろう。

「おバカ系」のオルタナティブ

その一方で、1990年代以降の「ジャンプ」では、「おバカ系」とは真逆に見える主人公のタイプも台頭していった。それは「天才系」と呼べるようなキャラクター造形だ。

「天才系」で代表的なのは、『DEATH NOTE』の夜神月や『遊☆戯☆王』の闇遊戯。

最近のヒット作でいうと、本誌ではなく「少年ジャンプ+」だが、『SPY×FAMILY』のロイド・フォージャーもその1人だろう。

さらに「天才系」の源流をさかのぼるなら、1986年に連載がスタートした『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズを挙げるべきかもしれない。

空条承太郎は古くからある劇画的なキャラクターでありながら、クールで頭の切れる現代的な主人公とも解釈できる。

そして、「おバカ系」と「天才系」のいずれにも当てはまらないイレギュラータイプの主人公も存在した。

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉や『銀魂』の坂田銀時のような、おバカベースだが一皮剥くと頭脳は天才的…というハイブリッドなタイプだ。

ちなみにこうした作品群を単行本の発行部数で比較すると、トップ3は「ONE PIECE」「ドラゴンボール」「NARUTO」という順位に。

圧倒的に「おバカ系」が上位となっている印象だ。

しかし令和の作品でいうと、上から『鬼滅の刃』『呪術廻戦』といった作品が並んでいるため、「おバカ系」が現在も主流かというと微妙なところ。

文学的なまでに主人公の暗い内面に密着していくような傾向があり、読者の共感を集めている。

次なる「ジャンプ」のヒット作では、どんな主人公が誕生するのか。新たな時代の幕開けに期待したい。

文=ゴタシノブ

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Khosro / PIXTA