『犬王』ゴールデングローブ賞獲得ならず…湯浅監督の爆死作品との共通点

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『アカデミー賞』の行方を占うともいわれる『ゴールデングローブ賞』の第80回授賞式が、日本時間1月11日に開催された。候補に挙がっていた湯浅政明監督のアニメーション映画『犬王』は惜しくも受賞を逃し、ネット上でさまざまな声が上がっている。

同映画は小説家・古川日出男の『平家物語 犬王の巻』が原作。室町時代に活躍した実在する能楽師・犬王と、琵琶法師・友魚の絆をミュージカルにしたアニメーションだ。

犬王の声を人気バンド『女王蜂』のアヴちゃん、友魚を俳優の森山未來が務めていることも大きな話題を集めていた。

ゴールデングローブ賞・アニメ映画賞に日本映画がノミネートされたのは、細田守監督の『未来のミライ』以来、4年ぶり2回目。しかし残念ながら受賞を逃し、ファンからは落胆の声が一斉に上がった。

しかし一方で、受賞を逃したのは当然との声も…。

《犬王と友魚のパフォーマンスが往年のロックスターのパクリ。ロック=斬新という考え方自体が古くさい》
《残虐シーンが多くて途中で気分が悪くなった。子どもには絶対に見せたくない》
《なぜマイケルジャクソンやクイーンなのか。もっと日本の伝統的な音楽を取り入れてもよかったのでは?》
《音楽も演出も古くさく感じた。決してつまらないわけじゃないけど、ゴールデングローブ賞はさすがに無理》

といった、厳しい意見もネット上に散見される。受賞を逃した理由は、どこにあったのだろうか。

荒唐無稽な作品で爆死した映画作品

「『犬王』は絵に描いたような〝時代劇×ロックオペラ〟で、ほかの湯浅監督作品と同じく、内容よりも音楽やビジュアルにかなり力を注いでいます。しかし、楽曲は70~80年代のものばかりで、今さら感は拭えません。また、日本独特の琵琶の魅力も十分に伝わっていなかったように思えます」(映画ライター)

湯浅監督の過去作品を見てみると、同じように酷評された映画には、とある共通点がある。

「悪い意味での湯浅監督の代表作といえば、『日本沈没2020 劇場編集版-シズマヌキボウ-』でしょう。この作品は、20年7月にオリジナルアニメがNetflixで全世界配信され、11月に再編集版として上映されたアニメ映画。某映画評論サイトでは★2.7の低評価を叩きつけられています。

原作である小松左京の名作SF小説『日本沈没』のリブート作品だと覚悟の上で観にいった人からも、《ツッコミどころの多いウォーキングデッドのゾンビがいないバージョン》など、批判の嵐が吹き荒れていました」(同・ライター)

また、19年6月に公開された映画『きみと、波にのれたら』は、公開初週末の21日から23日にかけての興行収入がなんと0.8億円という悲惨な結果に。

「若い男女の恋模様を描いた作品ですが、観客のターゲットが不明瞭なことや、元AKB48の川栄李奈、俳優の伊藤健太郎など、声優経験がほとんどない芸能人をキャスティングしたことが主な理由だと思われます。これらに共通していえるのは、『なぜ?』と疑問を抱く唐突な表現があることでしょう」(同)

「犬王」は日本で昨年5月に公開されているが、興行収入は3億円ほど。昨年公開されたアニメ映画『ONE PIECE FILM RED』の190億円超、『すずめの戸締まり』の121億円超に比べたら微々たるモノだ。

売れた映画が素晴らしい作品とは一概には言えない。

しかし、せめて日本でもう少し話題になっていたら、また違った結果になっていたかもしれない。

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