藤井風は『紅白』に宗教を持ちこんだ? サイババ信仰をめぐって大論争

藤井風は『紅白』に宗教を持ちこんだ? サイババ信仰をめぐって大論争

藤井風は『紅白』に宗教を持ちこんだ? サイババ信仰をめぐって大論争 (C)PIXTA

第73回『NHK紅白歌合戦』で代表曲『死ぬのがいいわ』のパフォーマンスを披露し、大きな話題を呼んだ藤井風。今もっとも注目を集めているアーティストの1人だが、その“宗教的メッセージ”をめぐってファンの間では大論争が巻き起こっている。

実は熱烈なサイババ信者!?

現在広まっているのは、藤井がインドの宗教家「サティヤ・サイ・ババ」(以下、サイババ)を信仰し、そのメッセージとアーティスト活動が不可分になっているという疑惑だ。

サイババといえば、「神の生まれ変わり」という評判のもと、インド国内で多くの信仰を集めた霊的指導者。不治の病を治す、銅の指輪を金の指輪に変える…などの奇跡を見せることでも知られ、1990年代の日本ではワイドショーなどで大きな脚光を浴びていた。

藤井のアーティスト活動には、そんなサイババからの影響がさまざまな部分で見て取れる。

たとえばこれまでに2枚のアルバムをリリースしているのだが、そのタイトルは『HELP EVER HURT NEVER』(2020年)、『LOVE ALL SERVE ALL』(2022年)。いずれも、サイババの有名な教えとされている文言そのものだという。

また、2022年にリリースした楽曲『grace』や、『紅白』で披露した『死ぬのがいいわ』などの歌詞についても、ファンたちは盛んにサイババからの影響を考察している。

実際に藤井はメディアなどで、スピリチュアル界隈で有名な「ハイヤーセルフ」という言葉を口にしており、創作活動の根幹に宗教性があることは間違いないのだろう。

そこで現在問題視されているのは、藤井が「サイババの名前を出さずにその教えを引用していたこと」だ。

サイババの思想、サイオーガニゼーションを明示せずに楽曲やグッズなどに取り入れていたことで、拒絶反応を引き起こしてしまったのだろう。

SNS上を見てみると、《サイババ信仰は個人の自由だけど、その教義を音楽という形にしてステルス的に広めることには疑問を感じる》《うーん、藤井風ヤバめ ステルス布教、ダメ絶対》《藤井風大好きなのに、もう声を聴いただけでサイババの顔が浮かんでもう同じように聞こえない》といった反応が上がっているようだ。

大袈裟すぎる宗教アレルギー?

とはいうものの、そもそもアーティストと宗教は切っても切れない関係にある。サイババ信仰に対する拒絶は、いささか大袈裟なアレルギー反応のようなものかもしれない。

名前をあげればキリがないが、あのマイケル・ジャクソンやプリンスも『エホバの証人』の信者だったことで有名。また『ビートルズ』のジョージ・ハリスンも、ヒンドゥー教のクリシュナ信仰で知られている。

アーティストは自分の内にある要素をつぎ込んで楽曲を作るものなので、宗教に共感したのであれば、その教えを取り入れることはなんら不自然ではない。

むしろ問題は信仰を持つことではなく、その影響力を使ってファンに信仰を強要することだろう。

そう考えると、藤井がサイババの名前を出さずに教えを引用するのは、むしろ正しい姿勢だとも言える。

問題の背景として、日本ではオウム真理教や統一教会にまつわる事件が起きており、宗教全般についての視線が厳しくなっていることは間違いない。しかし海外アーティストでいえば、むしろ無神論であることの方が珍しいはずなので、藤井だけ取り上げて批判するのもナンセンスだろう。

サイババ信仰は藤井にとって大事なインスピレーションの源泉。偏見による圧力に負けず、これからも素晴らしい楽曲を生み出してほしい。

文=「まいじつエンタ」編集部

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Sergey Nivens / PIXTA