大谷翔平を下位打線に!? ジャンプ漫画から生まれた革命的理論「ダブルチャンス打線」

大谷翔平を下位打線に!? ジャンプ漫画から生まれた革命的理論「ダブルチャンス打線」

大谷翔平を下位打線に!? ジャンプ漫画から生まれた革命的理論「ダブルチャンス打線」 (C)PIXTA

『週刊少年ジャンプ』における数少ない野球漫画として、今でも時折話題となる『Mr.FULLSWING』(ミスフル)。同作では常軌を逸したトンデモ戦術が披露されることもあったのだが、そのなかでも有名なのが「ダブルチャンス打線」だ。

ギャグ漫画から生まれた革新的理論

同作は、2001年から2006年にかけて連載された野球ギャグ漫画。パワーと勢いだけが取り柄の猿野天国のほか、個性豊かなメンバーが集まった「十二支高校」野球部の活躍が描かれている。

ギャグ要素とスポコン的な高校野球の描写が入り混じった作品なのだが、そんな物語のなかで「ダブルチャンス打線」が生み出された。

一般的に打線を組む場合、1番と2番に出塁する確率の高い選手を配置。そして3番から5番に強打者を据えることで、効率よく得点を狙うという考え方がセオリーだ。

ただしこの打線では基本的に、6番から9番まで打力に乏しいバッターが並びがちになるという欠点がある。

「ダブルチャンス打線」は、そうした打撃理論の欠点をカバーできる発明だった。

作中では、3番と4番に加えて、8番と9番に強打者を配置。これにより得点に期待ができる打群(クリーンナップ)が2分割されるので、途切れることなく攻撃できる…という言い分だ。

実際に採用されたケースも

一見すると合理的な理論だが、実際には節目に低打率の打者が配置されるため、打線がブツ切りに。

むしろつながりを欠いてしまうため、《わざわざ大量得点する機会を減らす作戦》《ノーチャンス打線》というツッコミも少なくない。

おまけに下位打線は打席数が少なくなるので、単純にもったいないような気もする…。

いわば机上の空論とも言えるのだが、実はプロ野球で似たような形式の打線が組まれたこともある。

たとえば、オリックス・バファローズが2013年7月2日の埼玉西武ライオンズ戦で採用していた。

当時クリーンナップを打っていた助っ人外国人のアーロム・バルディリスを6番に下げ、さらに長距離バッターのT-岡田を8番に。これが功を奏したのか、T-岡田が2打点の活躍を披露して見事勝利を収めている。

また2022年シーズンのオープン戦では、横浜DeNAベイスターズが前年に21本塁打を放ったネフタリ・ソトを“恐怖の7番打者”として抜擢。三浦大輔監督は、「長打力のあるソトを7番に置き、二段構えというイメージで打線を考えています」と狙いを語っていた。

実例を加味すると、強打者揃いのチームほど「ダブルチャンス打線」が効果を発揮している印象。

ひょっとしたら、大谷翔平や村上宗隆といったスラッガーが勢ぞろいする「WORLD BASEBALL CLASSIC 2023」でも、採用されるかもしれない…?

文=「まいじつエンタ」編集部

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