チャイナリスク爆発! 2023冬アニメ放送延期ラッシュで“冬の時代”に

チャイナリスク爆発! 2023冬アニメ放送延期ラッシュで“冬の時代”に

チャイナリスク爆発! 2023冬アニメ放送延期ラッシュで“冬の時代”に (C)PIXTA

ただでさえ“不作”と言われている2023年冬クールアニメ。SNSなどでも《今期は1本も見ていない》といった声をしばしば見かけるが、そこに追い打ちをかけるかのように、放送延期を発表する作品が相次いでいるようだ。

「ニーア」などの注目作が放送延期!

まず1月22日には、『スクウェア・エニックス』の大人気ARPGをアニメ化した『NieR:Automata Ver1.1a』が放送延期を告知した。

同作は今期の“覇権アニメ”の候補に挙げられていたほどの作品だが、今後は1~3話の再放送が行われ、4話以降のスケジュールについては近日中にアナウンスがあるそうだ。

また、同日には男性アイドルを描いたアニメ『UniteUp!』も放送延期を発表。その後も矢吹健太朗のコミックを原作とした『あやかしトライアングル』や、いわゆる“高木さん系”作品の『久保さんは僕を許さない』などの放送延期が決まっている。

有力作品の放送延期ラッシュに、アニメファンからは《最近観てるアニメが怒涛の放送延期で泣きそう》《今期のアニメで一番楽しみにしてたのニーアオートマタなんだけど放送延期は残念》《久保さんも放送延期するのか…》《ニーアのアニメいいところで放送延期じゃん もったいねぇ》といった声が。

ファンの悲しみももっともだが、この現象はたんなる偶然ではなく、アニメ業界の構造的な問題と関わっている。

中国の情勢に左右される日本アニメ

今回放送延期が決まったアニメ作品は、いずれも「新型コロナウイルスの感染拡大」を理由として挙げていた。

とはいえ、国内の感染状況を見てみると、一時期に比べて感染が爆発しているわけではない。そのため《なぜ今になって新型コロナで放送延期?》と、いまいちピンと来ていない人もいるようだ。

しかし実は関係者たちの意見では、感染爆発の影響が出たのは日本国内のスタジオではなく、外注先である中国だとされている。

このあたりの事情を隠していない作品もあり、昨年第13話の放送延期を発表した『異世界おじさん』は、「現在中国で感染が急拡大している新型コロナウイルスの影響により、現地企業に発注しておりました映像制作に遅延が生じたため」と、公式サイトなどで明言していた。

昨今の日本アニメは、外注先として中国などのアニメーターに発注するのが当たり前になっている。しかし中国では昨年の「ゼロコロナ政策」撤廃をきっかけに、コロナ感染者が爆発的に増加中だ。

そのため、中国への外注に頼っていた国内のアニメ作品が、いずれも制作をストップせざるを得ない状況に追い込まれている。

ところで2023年冬クールの覇権アニメ筆頭とも言われている『お兄ちゃんはおしまい!』は、今のところ放送延期を回避できている模様。フェティッシュ全開な作風に「TSF」と、中々コアなジャンルのアニメだが、やはり「おにまい」が天下を取ってしまうのだろうか…。

文=大上賢一

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