映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『X-ミッション』

CGほどではなくとも3Dもあまり歓迎しないクチだが、本作はたしかに3D映像で観る価値はある。冒頭のアメリカ・ユタ州の切り立った山岳地帯での驚愕のモトクロス、フランス沿岸(実際の撮影はポリネシア)で発生する10年に一度のビッグウェーブに挑むサーフィン、南米ベネズエラの世界最大落差の滝エンジェル・フォールの垂直の岩壁を素手で登るフリークライミングなどなど。

さすがに実際に挑むのは本物のアスリートたちで彼らの超絶ぶりも凄いが、この景観も改めて凄い。こうなるとほとんどドキュメンタリーの世界であり、凡人は『こいつら、よくやるよ』と呆れるしかない。

男臭いだけでオネーちゃんはいないのか、と思ったら、犯罪集団の紅一点のテレサ・パーマーはなかなかのアスリート美女。男どもほど神業級のテクはない分、理性の象徴として描かれているのもなるほど納得。

やたら大掛かりな“見せ物映画”だが、なぜか清々しい気分にもさせられる。一種の“自然神”ムービーだからか。