有名声優ラジオが一挙終了! アニメ業界の“VTuberすり寄り路線”ますます強まる

有名声優ラジオが一挙終了! アニメ業界の“VTuberすり寄り路線”ますます強まる

有名声優ラジオが一挙終了! アニメ業界の“VTuberすり寄り路線”ますます強まる (C)PIXTA

かつてはオタク界隈でトップの地位を築き上げていた声優たち。今年に入り、ついにバブルが弾けたのか、さまざまな声優ラジオが一斉に終了することが明らかとなった。

その中には長年続いてきた有名番組も含まれており、オタクたちに“時代の変わり目”を痛感させている。

10年続いてきた有名声優ラジオも終了へ…

一挙終了が発表されたのは、文化放送が運営するアニメラジオ(アニラジ)『超! A&G+』で放送されていた番組だ。

とくに声優がパーソナリティを務めるラジオ番組の数々が、この春にまとめて10本以上も終了する。

たとえば人気声優、佐倉綾音と大西沙織がパーソナリティを務める『佐倉としたい大西』は、3月28日の放送をもって終了へ。2016年4月から始まった番組だが、丸7年の節目で終了を迎えることとなる。

同番組は視聴ランキングのトップ常連だった大人気番組だったため、ネット上では《7年近く聴いてきたが来月終了…。わりとしんどい》《終了発表、はじめてラジオで泣いた》《としたい終わっちゃうショックがでかすぎる…》と嘆く人も多いようだ。

また、『阿澄佳奈 星空ひなたぼっこ』や『丹下桜のRadio・A・La・Mode』といった大物人気声優のラジオも、3月末に終了することが予定されている。いずれも10年以上続いてきた長寿番組なので、声優界隈に与える衝撃は大きい。

そのほかにも、『安野希世乃のきよなび!』『伊波杏樹のRadio Curtain Call』『瀬戸麻沙美 Now Roading』といった番組がこの春に終了する予定。

さらに女性声優の番組ばかりではなく、『石川界人のとまどいイルカ』『村瀬くんと八代くん』『A3! Blooming RADIO』『駒田航 K-WAVE Radio』といった人気男性声優の番組も怒涛のように終了が告知されている。

文化放送がなぜ大規模な番組改編に踏み切ったのかは不明だが、オタクたちの間では、声優ブームの終焉を感じ取る人が相次いでいるようだ。

アニメ業界を一変させるVTuberの存在

また、そうした動向を巻き起こした背景として、近年ますます過熱するVTuber人気の影響を指摘する声も。

《ホロライブが完全互換になったよな。その内アニメ声優もやるでしょ》《業界自体がVTuberに食われたからね なんで声優がここまで持ち上げられたのかそもそも謎だった》《完全にホロライブに客取られたな》《全員VTuberに行ったんだろ》といった説が飛び交っている。

そもそもデジタル配信されるという点で、VTuberがYouTubeで行う配信と声優ラジオには大した違いはない。とくに大手事務所に所属するVTuberはトーク力に秀でているため、演技を生業とする声優よりも人を集めやすいという側面はありそうだ。

実際、近年声優がYouTubeに進出するケースが増えているが、知名度のわりに数字を稼ぐことができないパターンが多い。

これまでのアニメ業界は、アイドル声優に依存するような構造が出来上がっていた。声優のネームバリューによって視聴者を集め、声優が出演するイベントチケットを付けることでパッケージの売上に下駄を履かせていたのだ。

今後、声優の影響力が弱くなっていけば、アニメ業界自体の構造にも大きな変化が生じるだろう。

現時点でも、VTuberを起用したプロモーションに力を入れるアニメ作品は相次いでいる。

たとえば昨年には、『メガトン級ムサシX(クロス)』と『ホロライブ』のVTuberがコラボ企画を実施。兎田ぺこらをはじめとするメンバーのアニメアテレコ動画が、プレミア公開された。

ほかにも『ルパン三世 PART6』や『探偵はもう、死んでいる。』などにVTuberが声優として出演したり、『ジャヒー様はくじけない!』や『宇崎ちゃんは遊びたい!』『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』などで主題歌を担当したり…。とにかくVTuberへのすり寄りが凄まじい。

ただ、VTuber を起用したところで、アニメ自体が面白くなければファンを“横流し”する効果も期待できないだろう。

そろそろアニメ業界のあり方を見直す必要があるのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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Koldunova / PIXTA