「あおり運転」の社会問題を予言していたスピルバーグ映画

(C)Vitpho / Shutterstock

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神奈川県大井町の東名高速で昨年6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した事故以来、“あおり運転”が社会問題化している。

鹿児島市内では昨年12月、パッシングをした男子大学生の軽自動車を約2キロメートルにわたって追走したのち、暴行を加えて怪我を負わせた傷害などの疑いで、解体作業員で成人男性のふたりが今年に入って逮捕された。

ふたりは男子大学生の軽自動車のガラスなどを工具で割り、男子大学生を車から引きずり出した上で殴る蹴るなど暴行し、頭部に全治10日間の怪我を負わせたという。これなどは、あおり運転どころか、“殺人未遂”といえる行為だ。

 

あおり運転の恐怖を描いた映画が1970年代にあった

これらと同類の事件で思い起こされるのが、アメリカの映画『激突!』(1971年製作、日本での公開は1973年)だ。この映画は、ある営業の会社員がセダンを運転中に、追い抜いたコンボイ(大型トレーラータンクローリー)から執拗にあおり運転をされる恐怖を描いたスティーヴン・スピルバーグ監督の出世作だ。

「会社員は商談のために車でカリフォルニアへ向かう途中に、2車線のハイウェイでスピードが遅い大型トレーラーを追い越しました。その直後からコンボイは会社員の車を執拗に猛追し、列車が通過中の踏切内に車を押し込もうとしたり、警察に通報しようとする会社員を電話ボックスごと跳ね飛ばそうとしたりするなど、明確な殺意を示します。壮絶な対決のあと、コンボイは会社員の車もろとも崖から落下、夕暮れに会社員は茫然自失状態で崖の縁に腰掛け、崖下で残骸となった2台の車を見つめるというストーリーです」(映画ライター)

作品中では一貫してコンボイの運転手の姿を映さず、この演出により、まるでコンボイが大型野獣のように追ってくる効果を出している。

「出演俳優はデニス・ウィーバーのみといって差し支えないほどで、1973年に第1回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭のグランプリを受賞しています。本来なら起こるはずのない理不尽な犯罪に巻き込まれたわけですから、戦いに勝利してもむなしさだけが残る映画でした」(同・ライター)

この映画における一連の描写は『ジョーズ』に引き継がれている。

 

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