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〝ペロペロ事件〟の被害者として、これまで散々世間の同情を誘ってきた大手回転寿司チェーン『スシロー』。しかし事件の傷が癒えてきた4月某日、今度は別の問題で批判を浴びる立場に立たされているようだ。
同社の公式ツイッターは4月10日、《サーモンの素晴らしさをもっとみんなに伝えたい》とつぶやきを投稿。素晴らしさを伝えるための方法を人工知能ツール『ChatGPT』に相談したようで、実際に受けたアドバイスの画像と共に《シンギュラリティ ならぬ #スシンギュラリティ を明日お届けします》と報告した。
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そして翌日より「#スシンギュラリティ」とハッシュタグを添えて、〝AI〟が作成したサーモンのビジュアルを続々と投稿していく。サーモンに始まり、焼とろサーモン、ジャンボとろサーモンなど、AIが作成したビジュアルを公開した。
スシローの『#サーモン』のビジュアルをAIに考えてもらいました!!!
…た、たしかに新鮮ですが、、、
⬇︎リプに続くよ⬇︎ pic.twitter.com/98lu7gCvQ7
— スシロー (@akindosushiroco) April 11, 2023
おとり広告で失敗したのに…
AIを活用した広報活動を行う「スシロー」に対し、イラストを生業とする絵師らが批判の声を上げている模様。理由としてはもちろん、昨今のAIイラスト問題が関係している。
「世界中で広まりつつあるAIですが、問題は山積み。特にイラスト関連は〝クリエイターの権利〟を侵害しているとして、米国で集団訴訟が起こるまでに発展しています。
日本の著作権法47条の7では、《著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる》としていますが…。
この著作権の問題においては、さまざまな議論がなされており、作家の画風が無断でAIの学習に使われることも問題視されているのです。そんなセンシティブなものを平気で使用し、しかも広報活動に利用するとは、『スシロー』も危機管理能力が足りないのかもしれません」(時事ライター)
今回のAIイラストによる宣伝に、擁護の声も寄せられているが、ネット上では《現状のAIイラストを使うという事は、ネットに落ちてる誰かの絵を無断で使用するモラルの無い人ですと自己紹介してるような物です》《企業がAIイラストで大々的に広告するなんて、ペロペロ事件とやってること同じ》《生成AIの問題を知っててやったの? そういうスタンスならスシローはもう行かない》《〝よくわからないけど面白いからいいじゃん〟でやっちゃったのかな? ペロペロ事件と同レベル…》《ペロペロ事件の加害者と同じことしてる感覚もなさそうだけど、よくあの加害者を責められたね?》などと批判の声が圧倒的だ。
「スシロー」といえば、昨年も〝おとり広告〟が物議を醸したばかり。一度広告で失敗している以上、なおさら慎重になりそうものだが、広報担当は何も考えていなかったのだろうか。