ジャンプアニメ化は“画力の高さ”が仇に!?『呪術廻戦』と『SAKAMOTO DAYS』勝ち組なのは…

ジャンプアニメ化は“画力の高さ”が仇に!?『呪術廻戦』と『SAKAMOTO DAYS』勝ち組なのは…

ジャンプアニメ化は“画力の高さ”が仇に!?『呪術廻戦』と『SAKAMOTO DAYS』勝ち組なのは… (C)PIXTA

現在の『週刊少年ジャンプ』にて、『ONE PIECE』に次ぐ人気作品として覇権を競う2つの作品がある。芥見下々の『呪術廻戦』と、鈴木祐斗の『SAKAMOTO DAYS』だ。

いずれも迫力のあるバトル描写が印象的な漫画だが、その格差から見えてくる残酷な現実もあるようだ。

最新号で露呈した作画のギャップ

「SAKAMOTO DAYS」は、初期こそギャグシーンが多かったものの、その後画力の高さを活かしたバトルモノとしてブレイク。街中で繰り広げられる戦闘は、実写映画のようにドラマチックで、カメラワークや止め絵の質にかけては群を抜いている。

5月29日に発売された「ジャンプ」26号では、そんな同作が表紙&巻頭カラーで登場。本編の最新話となる第120話「終局」では、若き日の坂本と有月がタイマンでやり合うところが描かれており、ダイナミックな大ゴマの連発によって読者を興奮へといざなった。

その一方で、同号では『夜桜さんちの大作戦』を挟んで「呪術廻戦」の最新話が掲載されている。奇しくもこちらも五条悟と宿儺という2人の“最強”が激突する話で、1話を丸ごと使った異能力バトルが展開。

しかし「SAKAMOTO DAYS」のクオリティが強すぎたため、「呪術廻戦」の戦闘シーンが霞んで見えるという読者も多いようで、作者に同情的な声すら上がっている。

掲載順が近く、偶然似通った展開が描かれていたからこそ生まれた悲劇。だが、この出来事が示しているのは、メディアミックスの適性に関する意外な事実だ。

「チェンソーマン」の再来となる可能性

「ひと昔前とは違って、最近のジャンプ作品はアニメ化された際にハイクオリティな作画となることがほぼ確実。『鬼滅の刃』の大ヒットによって、“作画がよければ売れる”という事実が業界関係者に知れ渡ったからです。アニメ化を前提とするなら、原作の画力が人気に直結しないことは明らかでしょう。

それどころか、アニメ化でブレイクするのは画力が微妙な作品ばかり。『鬼滅の刃』はとくに顕著で、原作の戦闘描写が荒々しかったからこそ、アニメでそれを補完する余地が生まれ、ファンたちが盛り上がりました。原作の画力は、むしろ低い方が有利なのです」(漫画ライター)

「鬼滅の刃」と対称的に、原作の時点で完成されていた『チェンソーマン』は、アニメ化でブームが盛り下がるという異例の現象が起きた。

「『チェンソーマン』の場合は、アニメが原作の迫力を下回っていたため、ファンたちが大荒れしました。絵作りに関しても原作の完成度が高すぎた結果、アニメスタッフが補完する余地がなく、多少アレンジしただけでも前後と矛盾が生じてしまうことに。アニメ化に向いているのは、絵コンテ程度の書き込みの原作なんです」(同)

「呪術廻戦」がアニメ化でヒットしたのも、連載初期の絵の荒さを考えれば、妥当な結果だったのだろう。

今後、『SAKAMOTO DAYS』がアニメ化される日も遠くないだろうが、あまりにハードルが高い挑戦となりそうだ…。

文=「まいじつエンタ」編集部

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