広瀬アリスの巫女姿を堪能できる史上初(?)の神社コメディー映画

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『巫女っちゃけん。』

配給/スリーパーエージェント 新宿武蔵野館ほかで2月3日から全国公開
監督/グ スーヨン
出演/広瀬アリス、リリー・フランキー、MEGUMIほか

年に2回だけ現れる“光の道”で知られる福岡県の宮地嶽神社を舞台にした映画史上初(?)の神社エンタテインンメント・ムービー、という触れ込みだが、公開前にいろいろと“アヤ”の付いた作品でもある。

まず、由緒ある神社での騒動といえば、昨年暮れに前代未聞の殺傷事件が起こった『富岡八幡宮』がどうしても頭に浮かんでしまうこと。まあこの映画では“殺人”は出てこないけど。さらに年明けには、ヒロインの広瀬アリスの兄が酒気帯び運転で現行犯逮捕されてしまったこと。この映画にもアリスにも直接関係ないのだが、どこか暗い影を落としている。何たるバッド・タイミング。まあ、ご不幸としか言いようがないのだが…。

広瀬アリスが演じるのは、短大卒業後の就職先をすぐに辞めてしまい、現在は宮司である父親(リリー・フランキー)の神社で巫女のバイトをしている「しわす」。常識や礼儀に欠け、態度も口も悪く、夢も希望もおっぱい(!)もないという“痛い”20代女性という役柄も珍しい。そんな彼女の前に、一切口を利かない健太という5歳の悪ガキが現れ、参拝客に石を投げたり、賽銭箱を燃やしたりと傍若無人。この悪ガキの身元が分かるまで、いやいや世話係を押し付けられた彼女の人生もまた暴走してゆく…という一席だ。

 

コメディーのなかにも意外なシリアス展開が

「一回、蹴っちゃろか」、「絶対、バチ当たるけんね」などなど、九州弁丸出しで悪態をつく広瀬(ちなみに彼女は静岡県出身)が小気味よい。ほぼ全編巫女ファッションで通すコスプレ感も強くって、妹・すずより姉・アリスのファンのボクは思わず目を細めてしまうね。特に、この悪ガキの母親として登場するMEGUMIとのケンカ上等のシーンは大いに見どころ。

そんな“悪態バイオレンス巫女”と“生意気な悪ガキ”との化学反応はいかに? 児童虐待の容疑で警察沙汰にまで発展し、さあどうなる、どうする、というメーンの話も興味津々となるのだが、“神社業界”“巫女業界”はどうなっているのか、というお仕事コメディーの側面もある。「神社の神様って、いったい誰?」とか「神に仕える巫女は処女でないとなれないのか?」とか、いまさら聞けない素朴な疑問が明らかになる?

ドタバタ・コメディー調かと思いきや、意外とシリアスなのが長所短所だったりするのだが、ここは広瀬アリスの魅力で押し切ろう。果たして“富岡八幡宮”と“弟の酒気帯び運転”というマイナス・イメージはお払いできたのだろうか。

 

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