『サンデー』低迷は“おっさん重視”の末路! ヒロイン総選挙で読者の高齢化が明らかに

『サンデー』低迷は“おっさん重視”の末路! ヒロイン総選挙で読者の高齢化が明らかに

『サンデー』低迷は“おっさん重視”の末路! ヒロイン総選挙で読者の高齢化が明らかに (C)PIXTA

人気漫画のヒロインたちを対象とした投票企画『週刊少年サンデー&サンデーうぇぶりヒロイン総選挙』の結果が、5月31日に発表された。しかしランクインしたのは、ほとんどがひと昔前のヒロインで、読者の高齢化を証明する結果となっている。

古典ヒロインが次々ランクイン

この企画では、「サンデー」レーベルが生み出した歴代のヒロインを101人ピックアップ。4月19日~28日にかけて、読者による投票が行われ、総投票数は27万5,027票に及んだ。

この総選挙で1位を獲得したのは、毛利蘭。次いで2位も灰原哀で、1994年から連載されている『名探偵コナン』の女性キャラクターがワンツーフィニッシュを飾った。さらに5位にも少年探偵団の吉田歩美が食い込んでおり、「コナン」が強い存在感を放っていた。

そして3位となったのは、1996年~2008年の連載作『犬夜叉』のメインヒロインである日暮かごめ。それ以降には『神のみぞ知るセカイ』の中川かのんや、『絶対可憐チルドレン』の野上葵などの名前があったが、どちらも連載開始が10年以上前の作品だ。

とくに顕著なのが、9位に『うる星やつら』のラムがランクインしたことだろう。最近はリメイク版アニメが放送されていたが、漫画は1978年から1987年に連載された漫画界の古典だ。

「20位以内には、『らんま1/2』の天道あかねや、『タッチ』の浅倉南といった古典ヒロインも集結しています。それだけ長く人気があるのは結構ですが、逆にいえば新たな人気ヒロインを生み出せていないということでしょう。トップ10に最近始まった作品のキャラクターが3人しか入っていないのは、由々しき事態です」(漫画ライター)

「サンデー」の部数が低迷した理由

もともと「サンデー」の読者年齢は、『週刊少年ジャンプ』よりも高いと言われていた。しかしヒロイン総選挙の結果を見るに、その傾向はますます進んでいるのかもしれない。

「かつての『サンデー』は、年齢層が低い読者を意識していた時期もありました。とくに印象的なのが、1990年代の転換期。『コロコロコミック』の創刊にも携わった敏腕編集者・平山隆氏が、1991年に『サンデー』の編集長に就任し、その後1994年に『名探偵コナン』の連載が始まりました。

そして1990年代後半には、発行部数が200万部に達するほどの好調期に突入します。それから20年近くが経った現在では、16.4万部近くまで激減していますが…」(同)

「サンデー」の編集方針といえば、高橋留美子などの大御所漫画家を本誌で起用し続けることで有名。また新連載の人気が出ると、引き伸ばし展開に突入することも多い。

「こうした編集方針の背景として挙げられるのが、『サンデー』編集部の体制。他の少年漫画誌と比べて、『サンデー』では編集長が交代するペースが速く、数年単位で入れ替わることも珍しくありません。

そのため腰を据えて育成される新人が少なく、短期的な人気取りのために、ヒット作家を使い続けるという悪循環が生まれていました」(同)

ただ、20代目の編集長・市原武法氏が新人育成に力を入れていたこともあり、「サンデー」内部にもさまざまな変化が起きている。ふたたび年齢層が低い読者に向き合い、新たなスタートを切ってほしいところだ。

文=「まいじつエンタ」編集部

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