借金80兆円を超えても作り続ける「中国新幹線」の謎

(C)kikujungboy / Shutterstock

(C)Shutterstock

中国の新幹線工事は今年も営業運行距離を3000キロ伸ばし、12兆7000億円が投資される。2025年には全長は35000キロになる予定だというから、日本の新幹線総営業距離の11倍に相当する。

昨年も11兆円強を投資し、成都から西安など辺境の地にまで新幹線の営業距離を伸ばした。これで過去の借入金総額は81兆6000億円にも達し、これは中国鉄道企業の総資産の64.8%を占めるに至った。

ちなみに日本の国鉄が破綻し、清算した際の累積赤字は24兆円だから、すでにその4倍に達していることになる。

そもそも収入を度外視しているから、作れば作るほど赤字は累積されていくが、中国の政府は気にしている様子がない。その理由は、中国鉄鋼産業に見れば納得できるという。

「中国鉄鋼産業界は、余剰生産体制、余剰ストック、潜在失業者と赤字体質そのものです。しかし、鉄の強度に予算をかけていないため、“安かろう悪かろう”になるのです。そのため、世界中にダンピング輸出ができ、アメリカから400%を超える制裁関税をかけられても全く気にしません。それで新興諸国にどんどん売り込みを図り、ビルが倒壊しようが、橋が崩れ落ちようが”平気の平左”どころか賠償請求にも無視を決め込むのです」(中国ウオッチャー)

 

世界中で中国主導の新幹線プロジェクトが中止に

こうした背景があるため、中国は世界中に新幹線プロジェクトを輸出することに成功したものの、メキシコは白紙撤回、アメリカは拒否、ベネズエラとパキスタンでは工事中断、インドネシアでやり直し、それでも懲りずにタイへの新幹線売り込みは強引にまとめた。

「タイの役人の悪質さは中国といい勝負です。道路工事などは10分の1が済んだところで中断されます。なぜなら途中で、上から下まで役人が汚職に精を出すからです。新幹線工事が中断しているパキスタンも同様で、570億ドルを投じているCPEC(中国・パキスタン経済回廊)でも、鉄道現場の3カ所で工事を中断しています」(同・ウオッチャー)

アメリカのドナルド・トランプ政権は、パキスタンへの支援金2億2500万ドルを凍結する措置を取った。すると中国は、抜け目のない行動に出ている。

「アメリカがパキスタンから手を引くと見るや、王毅中国外相は北京にパキスタンとアフガニスタン外相を呼び付け、CPECにアフガニスタンを加えることに合意させたのです。つまり、アメリカが援助を減らす分、中国がパキスタンにのめり込んだというわけです」(同・ウオッチャー)

中国新幹線の終点は“破綻”と分かっているはずだが…。

 

【画像】

(C)kikujungboy / Shutterstock

【あわせて読みたい】