『呪術廻戦』の世界はループによって救われる?「存在しない記憶」に“時間操作”の可能性

『呪術廻戦』の世界はループによって救われる?「存在しない記憶」に“時間操作”の可能性

『呪術廻戦』23巻(芥見下々/集英社)

これまで『呪術廻戦』ではいくつもの波乱に満ちた展開が描かれ、そのたびに考察が盛り上がってきた。最近では読者のあいだで、「時間のループ」が起きるという衝撃的な説も浮上している。その根拠となる描写を検証してみよう。

カギを握るのは「存在しない記憶」

同作の読者であれば、「渋谷事変」を1つの転機として、ストーリーが一気に加速していることが分かるだろう。物語から退場するキャラクターが増えており、そのなかには“犠牲になるべきではない人物”も多く含まれている。

あまりに取り返しがつかない展開が多いため、「地獄絵図」とも形容されており、このままでは後味が悪い結末に向かってもおかしくはない。

だが、少年漫画と「週刊少年ジャンプ」をこよなく愛する作者・芥見下々が、本当にこのまま物語を終わらせるだろうか。むしろ、これまでの展開を一気に覆す“超展開”のための前フリとも解釈できそうだ。

具体的な根拠となるのが、主人公・虎杖悠仁に関して描かれてきた「存在しない記憶」の伏線だ。これは東堂葵や脹相といった相手が虎杖と対峙した際、脳内に突如“別の世界”の記憶がよみがえるというもの。

突飛な発想に見えるかもしれないが、これを時間軸の操作によって生まれた「この世界とは別の世界での出来事」と考えることができる。つまり虎杖が東堂と同じ中学校で仲良くしていた世界線、そして虎杖が脹相を含む九相図の兄弟たちと過ごした世界線は、たんなる妄想ではなく、別の世界で本当に起きた出来事とも解釈できるのだ。

時を駆ける特級術師たち

実際、作中では時間操作について気になる発言がある。たとえば第208話では、特級術師の九十九由基が羂索との戦闘中に、質量の操作によってブラックホールを生み出した。

言うまでもなく、ブラックホールには時間の流れを捻じ曲げる性質があると言われている。そして混沌が極まる状況のさなか、九十九は「重力も質量も時間も突き詰めれば」と口走っており、その後の言葉は明かされずに終わった。このことから、彼女の術式の到達点に“時間操作”があると考察されるようになったのだ。

またメタな読み方をすれば、九十九は他の特級術師と比べてあっさりと出番が終わっている。時間の操作によって、ふたたび物語に絡んでくると考えるのが自然ではないだろうか。

そのほか、五条悟と夏油傑の高専生時代を描いた過去編の第65話では、“空間をループさせる呪霊”が登場していた。この呪霊が生み出した回廊のなかでは、外の世界と時間のズレが生じており、一種の時間操作の能力とも解釈できる。

そして夏油は、この呪霊を自分の手持ちとして取り込んでいたため、どこかのタイミングで時間操作を図っていた可能性もゼロではない。

さらに五条悟は、「無限」を操る術式の使い手だが、この能力の覚醒によって空間だけでなく時間にも干渉できるようになるかもしれない。過去編では、伏黒甚爾との戦いで能力を覚醒させ、新たな段階に至っていた。この過去編をセルフオマージュしたような展開が本編で見られるため、“もう一段階先”の覚醒が見られるとしても、おかしくはないだろう。

芥見は今までも、読者の予想をことごとく裏切ってきた。この先、読者をあっと言わせるどんでん返しに期待せずにはいられない。

文=野木
写真=まいじつエンタ