『進撃の巨人』今思い返しても衝撃…ある意味伝説となったライナーの“告白”シーン

『進撃の巨人』今思い返しても衝撃…ある意味伝説となったライナーの“告白”シーン

『進撃の巨人』34巻(諫山創/講談社)

11月5日に放送されるTVアニメ『進撃の巨人』The Final Season完結編(後編)によって、壮大だった同作のストーリーはついに完結を迎える予定。今思えば、ここに至るまでのあいだにドラマチックで衝撃的な展開がいくつも描かれてきた。

今回はそのなかでも視聴者に最大級の衝撃を与えた、ライナー・ブラウンの伝説的な“告白”シーンを振り返ってみたい。

いまだに語り継がれている急転直下の展開

その事件が起きたのは、Season 2の第6話。調査兵団がウトガルド城跡の激しい戦いを生き延びた直後のことだ。その戦いでは本来出現するはずのない場所に巨人が現れ、ユミルが巨人化するという衝撃の出来事が次々と巻き起こった。

誰もが混乱するなか、ひとまずウォール・ローゼの壁上で状況を整理する調査兵団の面々。そこでライナーは「エレン、ちょっといいか? 話があるんだが」と切り出し、奇妙なことを言い始める。

まるで世間話のように「俺たちは5年前、壁を破壊して人類への攻撃を始めた」「俺が鎧の巨人で、こいつが超大型巨人ってやつだ」と語ると、となりのベルトルトを示してみせるのだ。

たちまち取り乱すベルトルトだが、ライナーは意に介さない。さらにエレンが「は? 何言ってんだお前」と問いかけても、ライナーは止まらず、「俺たちの目的は、この人類すべてに消えてもらうことだったんだ」と口走ると、自分たちと一緒に来るようにとエレンに頼み込む。

その表情は終始おだやかで、エレンが自分の頼みを聞いてくれると確信していた模様。しかしエレンが「はい行きますって頷くわけがねえだろ」と正論を突きつけると、ライナーは突如狼狽した表情に変わり、自分が狂気に染まっていることを自覚する。

そしてこの決定的な決裂がきっかけとなり、後に引けなくなったライナーたちは腹をくくり、「ライナー、やるんだな? 今、ここで!」「ああ、勝負は今、ここで決める!」という名ゼリフを生み出すのだった。

なぜライナーは正気を失ったのか

「鎧の巨人」と「超大型巨人」は、エレンが住んでいた「シガンシナ区」が滅ぶきっかけとなった存在であり、その後も調査兵団の宿敵であり続けた。もっとも憎悪されていた巨人の正体が、仲間であるライナーとベルトルトだった…という展開は、当時大きな衝撃を呼んだ。

とはいえ、ライナーが自分たちの正体を暴露するシーンはあまりにも唐突であり、シュールな印象すらある。なぜ彼はそんな暴走に至ってしまったのだろうか。

おそらくそれは、ライナーが“二重人格”のような状態だったことが大きな理由だろう。ライナー自身、「きっとここに長くいすぎてしまったんだな。馬鹿な奴らに囲まれて、3年も暮らしたせいだ」と語っていたが、調査兵団の面々を“仲間”と認識する「兵士」としての人格が彼には生まれていた。

しかし本来のライナーは、海の向こうの大国・マーレからやってきたスパイ。壁の中に住むエルディア人は滅ぶべき「悪魔」だと教育され、「始祖の巨人」を奪還することを目的として送り込まれた忠実な「戦士」のはずだった。

ところがライナーは「戦士」としても完成されていなかった。パラディ島に到着して早々、自分の失態によって仲間の犠牲を生んでしまい、やぶれかぶれで壁の中に潜入することになったのだ。

そしてライナーは不完全な「戦士」と不完全な「兵士」が混ざった中途半端な存在として、精神的に追い詰められていく。やがてライナーがかぶっていた2つの仮面は入り乱れ、あの衝撃的な告白シーンへと至る。

ちなみにベルトルトは随所で、不安定なライナーを心配する素振りを見せていた。あらためて初期のシーンを見直すと、意味深な描写が見つかるはずだ。緻密に組み立てられた『進撃の巨人』のシナリオは、何年経っても新鮮な驚きを与えてくれる。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ