かつてブームを呼んだ「タニタ食堂」の厳しい現状

記者会見で商品を手にするタニタの谷田千里社長(左)と楽天の安藤公二常務執行役員

『タニタ食堂』を全国展開する健康総合企業のタニタが、5月より有機野菜使用のオリジナルメニューを提供する『タニタカフェ』をオープンさせる。

2012年、最初にオープンした『丸の内 タニタ食堂』(東京都千代田区)では、1食500キロカロリー前後、塩分量は3グラム程度に抑えられ、野菜は約200グラム摂取できる定食が爆発的な人気となった。健康志向の流行に乗ってタニタ食堂は一気に全国区となり、その後、各地に10店舗を構えるまでに拡大した。

だが、そのタニタ食堂のひとつ、『あきた タニタ食堂』(秋田市)が客数の低迷から3月末に閉店することが決まった。背景には客層のミスマッチがある。

もともとタニタ食堂は、主な客層として40~60代の女性を想定している。しかし、過疎化が進み高齢者が多く、さらに全国的に見ても塩分摂取量の高い秋田という土地柄は、食堂のコンセプトとそぐわなかったのだ。

株式会社タニタ食堂営業本部長の浅尾祐輔取締役は、「(秋田の)地元の方に向け、食文化を含めて立地的な課題を調整する必要があったのかもしれない」と話す。

 

成功の鍵は「価格帯」に合った固定客が付くかどうか

反転攻勢に出たいタニタは、今回の『タニタカフェ』をタニタ食堂と並ぶ食事業の柱に据えるとしており、その強気な姿勢がメニューの価格設定にも表れている。未定としているが、例えば食感にこだわった噛むスムージー『カムージー』は500~700円、『有機野菜ともち麦のサラダボウル』は900~1200円といった価格設定になるという。

食材は楽天の農業事業『Rakuten Ragri』と提携し、生産者から直送された旬の有機野菜を使用する。クオリティーの高い野菜だけに、どうしても高価になることは避けられないのだが、この価格設定を誤るとカフェの存続に大きな影響を及ぼしてしまう。

「サラダだけに1000円前後のお金を惜しまない人たちというのは、相当限られた所得層です。都内、それも一等地ならまだ何とか戦える価格ですが、地方での集客は厳しいでしょう。健康な食生活というのは習慣化しなければ意味がないので、このカフェを頻繁に利用するとなると、それなりの出費を覚悟しなければなりません」(飲食経営コンサルタント)

タニタカフェは20~40代女性をメインターゲットとしており、“カフェ”の客を“食堂”にまで取り込んでいきたいとしている。5月下旬にJR有楽町駅構内に都内第1号店を開店し、2022年度までに全国で100店舗まで広げていく方針だ。

消費者としては健康と財布のひもの兼ね合いが難しいところだが、経営者からすると立地のミスマッチを防げるかどうかが鍵となる。

 

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