ワタミ創業者に「仕事は生きがい」と発言させた自民党

国会では学校法人森友学園に関する文書書き換え問題で議論が紛糾している。その裏で密かにとんでもない発言をして炎上した国会議員がいる。自民党の渡邉美樹参議院議員だ。ブラック企業の代名詞的存在となってしまった居酒屋チェーン『和民』の創業者である。

「ワタミといえば、2008年6月に過労自殺した社員が残した手紙に《体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい》と書いてあったことが大きな問題として、ニュースでクローズアップされました。過労自殺した社員は調理研修がほとんど行われないまま神奈川県内の店舗に配属され、刺し身などを作る最もハードな業務を任されていたのです。開店前の午後3時までに出勤し、平日は午前3時、週末は午前5時の閉店後も働いくといった長期労働で、残業は月に140時間でした。しかも与えられた社宅が店から遠く、始発電車まで待機を余儀なくされたといいます」(ブラック企業問題に詳しいジャーナリスト)

休日にはボランティア研修や早朝研修が組み込まれ、心身を休める暇がなかったという。調理マニュアルに加えて経営理念集も暗記しなければならず、リポートの提出まで課せられていたことが明らかにされている。

「この件は裁判となり、2013年にワタミ側が遺族に謝罪をして慰謝料と損害賠償を支払うことで和解が成立しています。渡邉議員も『企業理念が独り歩きしてMさんを追い詰めたことを悔いている。これまでの発言、態度を反省し、二度と過労死が起きないように取り組んでいきたい』と謝罪しました」(同・ジャーナリスト)

 

過労死の遺族に過労死者を出した企業の社長が質問

その渡邉議員が3月13日の参院予算委員会の『働き方改革と過労死』をテーマにした公聴会に質問者として登場した。

「わたしも10年前に愛する社員を亡くしている経営者でございます。過労死のない社会を何としても実現したいと、そのようにわたしも考えております」と発言をしたあと、「実は、国会の議論を聞いておりますと、何か働くことが悪いことであるような、そんな議論に聞こえてきます。お話を聞いていますと、できれば週休7日が人間にとって幸せなのかと、そのように聞こえてきます。わたしはもちろん過労死は絶対にいけませんが、働くということは決して悪いことではなく、それぞれについて生きがいであり、自己実現であり、人は働くことでたくさんの『ありがとう』を集め、そして成長していく。そんな大事なものだと思っております。ましてや人しか資源のないこの国であります。それが国を挙げて働くな、働くなということでは、これからますます増える高齢者の方々も守ることができないと、そのようにも感じております。公述人おふたりの働くということについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います」と述べた。

この公聴会には公述人として過労死防止を訴えた過労死遺族がいたのだが、遺族は怒りを露わにして渡邉議員に発言の撤回を求めた。

渡邉議員は謝罪をして発言を撤回。そして質問の経緯をフェイスブックに投稿し、《これからもより一層過労死のない社会の実現を目指し、議員活動を続けていく覚悟をした次第です。》という文面で締めた。

 

自民党にも非難殺到

だが、渡邉議員の発言を耳にした人からは、インターネット上に批判が殺到している。

《さすがブラック企業の化身。言うことが一味ちゃうで!》
《東京過労死を考える家族の会代表 中原のり子さんを前にして、「国会の議論を聞いていると働くのはいけない事、週休7日がよいと言っているように聞こえてしまう」とか言ってるのよ…どういう聞き方したらそう聞こえるんだ?》
《つか渡邉美樹って「過労死」を「名誉の戦死」みたいに思ってる所無いか?そんな時代錯誤と甚だしい人政治の世界に組み込んじゃダメだよ。国民みんな死ぬよ、いやマジで。》

そして、渡邉議員のみならず、自民党への批判の意見も多い。

《過労死してしまった人の遺族に、過労死を出した企業の創業者を質問者としてぶつける感性がそもそもあり得ない。自民党のその感覚が信じ難い。》
《よりにもよってワタミを質問者に出してくるところが、終わってるよね自民党。》

働き方改革は、安倍晋三首相と加藤勝信厚生労働相の裁量労働制に関する答弁のデータが間違いだったということで、法案提出が遅れている。だが、この認識では提出されても安倍首相が言うような「やりがいを持って働くことができる」ような法案になるのか、不安しかない。

 

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