「大ボラにもほどがある!」昭和の駄菓子屋プラモ

本日はエープリルフール。昭和の駄菓子屋はパチ怪獣の5円引き写真など“まがい物”であふれ、毎日が大人と子供の化かし合いの場のようでした。自分が好きな怪獣だと思って買ったら、角の数が1本多かった、なんてことはしょっちゅう。そんな中でも、私がこの日にこそ紹介したいと思うプラモデルがこの『キジラ』です。

まず、この箱絵をご覧ください。『キジラ』というから大怪獣かと思いきや、単なる巨大な“キジ”にしか見えません。

右下には童話の登場人物・桃太郎とそのお供の犬と猿が。ということは、この巨大なキジは『桃太郎』と鬼ヶ島に同行したあのキジなのか!

では、なぜそのキジが巨大化してUFOと闘っているのか? 解説文を見てみましょう。

《キジラは桃太郎の鬼ヶ島せいばつのときについてゆき、そのまま680年の間にレザー光線を無力にする神通力を得ました。
ネロ宇宙界からとつぜん超大型の黒わし(ブラック・イーグル)がせめて来たゝめ、地球は大こんらんとなりました。
S.O.Sのれんらくをうけキジラの一族は地球防衛のために次々と飛立ってゆきます…》

あ、気が遠くなっていませんか? どうやらこのキジは680年間も生きつづけ…って、680年前って鎌倉時代ですよ。桃太郎の伝承が発生したのは室町時代といわれているんですが…。

でもって、レザー光線(皮の光線? レーザーでしょ!)を無効化する神通力を身に付けたというのです。しかも、その間にちゃっかり繁殖して一族を作り上げていました。

鳥のキジが神通力を身に付けることができて、人間の桃太郎は何ひとつ能力を身に付けることができなかったのでしょうか? ネロ宇宙界とは一体何か? S.O.Sはどこの誰が誰に出したのか?

考えるだけ無駄でしょう。箱を開けると中身はこんな感じです。

勇ましい物語とは違って何ともかわいらしい造形です。表紙には《スーパースプリング・シリーズ》とありますが、何のことはない、1960年代にはやったゼンマイ仕掛けでピョコピョコと飛び跳ねる玩具と同じ機構です。足がカエルのような形と色をしているのは恐らく同社のカエルの模型を流用したためでしょう。

もし、あなたが子供のころにこのプラモと出会っていたら、果たして「うわっ、キジラ、スゲェよ!!」と乗せられて買ったでしょうか?

最後に、これは1967年ごろに日本ホビーという会社から発売されたプラモデルで、コラージュでもフェイクニュースでもない、ということを付記しておきます。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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