「運命のエロい女」を探す奇想天外青春映画『サイモン&タダタカシ』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『サイモン&タダタカシ』

配給/日活 シネ・リーブル池袋ほかにて3月24日より公開
監督/小田学
出演/阪本一樹、須賀健太、間宮夕貴、井乃脇海、田中日奈子ほか

若手映画作家の登竜門と呼ばれる『PFF(ぴあフィルムフェスティバル)』。今年40回を迎える。これまで園子温、熊切和嘉、李相日、石井裕也など、今や日本映画の代表的監督となっている人材を培ってきた。そんな中、革新的でチャレンジングな作品に送られるジェムストーン賞を獲得した小田学の長編デビュー作がコレ!

工業高校3年の柴門(=サイモン/阪本一樹)は大学進学を目指し、同級生の多田(=タダ/須賀健太)は実家の工場を継ぐ予定だった。同級生の女子たち全員にフラれて傷心の多田はトイレの落書きにマイコという女の電話番号を見つけ、勝手に運命的出会いを信じ、柴門とともに“マイコ探し”の旅に出る…。

ちょっと異色な青春ロード・ムービー的なイメージを思い浮かべていたが、後半それが大きく裏切られることとなる。もちろん、いい意味で。なるほど、これが“革新的でチャレンジング”、と納得するはず。戸惑う人もいるだろうけど…。

 

革新的な「ふたつの設定」

インターネット掲示板が一般化している今どき、トイレのエロい落書きに反応するのも珍しいが、若い監督の昭和テイストと思えば微笑ましい。新人の阪本と子役時代から著名の須賀による二枚目と二枚目半コンビも新鮮で、後半の衝撃の告白シーンでの『なんで俺なの?』と戸惑う須賀がイイ味。そして“勝手に運命の女”とされたマイコ役の間宮夕貴もセクシーでイイ感じ。『甘い鞭』(2013年)で監禁暴行調教される全裸熱演が強烈だったが、最近はロマンポルノ・リブートの『風に濡れた女』の奔放ヒロインも素敵だった。彼女、どんどん良くなるなあ。

で、若干ネタばらし的になるが“革新的でチャレンジング”その1は、実はサイモンはタダタカシに友情以上の恋愛感情を持ち、それを言い出せないでいる、という設定のユニークさ。単なるボーイズ・ラブ的な設定ではない“もどかしさ”が味わい処。そして、その2は何とUFOまで登場し、SFファンタジー的な要素も加味している。このミスマッチ感こそ面白い! 数年前に一部マニアックな評判(ボクも見ていた)を呼んだテレビドラマ『みんな!エスパーだよ!』に似たテイストを感じた。これは映画にもなり、前出のPFF出身の園子温が監督している。

いつか見た青春ロード・ムービーのように始まり、予測できない展開と結末が待っている。新人監督にありがちなダラダラ感はゼロで、たった84分にまとめるあたりの潔さも立派。小田監督、5年後には“売れっ子”になっているかも、ね。

 

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