ロシア美女スパイ映画「レッド・スパロー」キワドイ艶任務に注目

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『レッド・スパロー』

配給/フォックス TOHOシネマズ新宿ほかにて3月30日より全国公開
監督/フランシス・ローレンス
出演/ジェニファー・ローレンスほか

ヒロインのジェニファー・ローレンスといえば『ハンガー・ゲーム』シリーズ(2012年~)などに主演し、『世界にひとつのプレイブック』(2012年)ではオスカー(主演女優賞)も獲得したハリウッドの人気女優。今回は色仕掛けロシア美女スパイという設定上、激しい濡れ場や全裸シーンにも堂々と挑んでいる。

オスカー女優に出世しようが、トップ女優となろうが、常に攻めの姿勢を保ち、なりふり構わず過激な役に挑んでゆく姿に打たれるね。これぞ女優魂。“脱ぎ惜しみ”だけは一人前の日本の著名女優あたりは、彼女の爪の垢でも煎じて呑んで、その“女優魂”を注入してほしいものだ。昨年、ボクのご贔屓パツキン女優シャーリーズ・セロンが大熱演した『アトミック・ブロンド』を彷彿とさせるような美女スパイぶりに、これまでジェニファーに鈍重感を少し感じていたのだが、今回はお見それしました、と素直に頭を垂れたいほど。

舞台での大ケガによりボリショイ・バレエ団で地位を失ったドミニカ(ジェニファー・ローレンス)は、ロシア情報庁の叔父の手引きで、ハニートラップ専門とも言うべきスパイ学校(実際にそういうセクションがあったそうだ)で能力を磨く。やがて、彼女は、組織内の裏切り者をあぶり出すため、CIA捜査官ネイト(ジョエル・エドガートン)に接近するのだが…。

 

衆人環視の「セックス訓練」を熱演

髪をパツキンに染め、標的をハダカで誘惑する。スパイ学校時代には衆人環視の前でセックス訓練を強要される。その際に、やや乳輪大きめの巨乳、ド迫力の巨尻も惜しげもなくご開帳の体当たり演技に感服した! このシーンがあるからこそ、半ば強制的に女スパイにさせられた女性の哀しみ、“色仕掛け”という苛烈で無慈悲な任務を遂行する覚悟、そして国家に対して芽生える反逆心に説得力が生まれるのだと確信する。言い換えれば、シリアスなスパイ映画の定番のテーマでもある国家や組織に対する個人の自我。そのせめぎ合いがローレンスの裸体を借りて、より浮き彫りにされてゆく。

アクションも苛烈だ。特に、マニアックな拷問男との死闘は凄みたっぷり。美女スパイの暗躍と反逆を描くサスペンス・アクションとしては、前出の『アトミック・ブロンド』に迫るほどの快作だ。

先日、英国で起きたロシアの元スパイらの暗殺未遂事件が、英ロの対立を招き波紋を呼んでいる中、期せずして、タイムリーな公開となった。観る動機は、ジェニファーのハダカ狙いでも構わない。エロス、サスペンス、アクション、三拍子揃った春一番の娯楽作!

 

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