日本置き去りの「東南アジア情勢」ベトナムとロシア中心に急変化

(C)Aritra Deb / Shutterstock

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ロシアは現在、ベトナムと濃密な関係を維持している。その理由は中国の“封じ込め”だ。

「昨年の6月29日、クレムリン宮殿を訪問したベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席とウラジミール・プーチン大統領はテレビカメラの前で抱擁を交わし、その友好関係が不変であることを内外に示しています。ベトナム中部の軍港がある都市、ダナンにアメリカ海軍の空母が寄港した際、ベトナム人はかつての仇敵に歓迎の旗を振り、またアメリカ上院の有力議員のジョン・マケイン上院議員が議員訪問団を組織して首都ハノイを訪問し、大歓迎を受けています。しかしながら、ベトナムがアメリカ製の武器を購入したかといえば、していません。実はベトナムの武器システムはロシア製が主流なのです」(軍事ジャーナリスト)

ロシアにとってベトナムは長いあいだ友好国家だ。ベトナム戦争中、ホーチミンルートを通じて中国は共産ゲリラに武器を補給し続けたが、ソ連もカムラン湾などの港へ支援物資を陸揚げし後方支援をし続けた。

「ベトナムは旧ソ連を最も頼りにしてきました。冷戦が終了し、ソ連が崩壊したあと、一時的にそのパイプは細くなりましたが、新生ロシアになってからも最大の武器輸出国は、中国、インド、そして3番目がベトナムなのです。2009年にグエン・タン・ズン首相(当時)がクレムリンを訪問した際に、ロシアは6隻の潜水艦、300キロメートル射程の地対地ミサイルの供与を決めています。これらはすでに実戦配備されており、南シナ海での中国との軍事衝突への備えとなっています」(同・ジャーナリスト)

 

インドネシアもロシア製武器を購入

ベトナムだけではない。ASEAN(東南アジア諸国連合)は中国の脅威を前にして、武器の調達では米露との均衡策を取り続けてきた。反共を国是としてきたインドネシアまでが、ロシア製の武器や戦闘機を購入し、アメリカ離れを起こしているのが東南アジアの現実だ。

「ただ、ベトナムが共産党一党独裁の国であることを忘れてはいけません。党の上層部では中国共産党ほどではないにしろ、見えない権力抗争があり、トップレベルの政治家にアメリカ派はいないと見られています。例えばグエン・ファン・フック首相は親中派ですし、ズン前首相は知日派でしたが政争に敗れて引退を余儀なくされています。ベトナムは当面、アメリカとの関係の緊密ぶりを政治カードとして活用し、中国へのけん制のためにも日本に接近したいでしょうが、日本のできることは限られています」(国際ジャーナリスト)

昨年11月、安倍晋三首相はベトナムとフィリピンを訪問した。目的は中国へのけん制だ。ベトナムに注力することでASEANやロシアと対中包囲網を構築したいところだが、いまだに国内では森友学園問題や加計学園問題の追及が続いている。国際情勢は1秒も無駄にできないほど刻々と動いているのだ。

 

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