
※画像は西安市の始皇帝像(C)Shutterstock
東京でも瞬間最大風速23メートルの暴風が吹き荒れた4月12日、2015年9月に中国山東省に建立された重さ6トン、高さ19メートルという『始皇帝』の青銅像が突風に吹き飛ばされて倒壊した。像は高さ2メートルほどの台座に載っていたが、鉄筋で土台とつなぐことなく、コンクリート製の台に乗せただけという状態で、しかも内部は中空だったため倒れてしまったという。
これに拍手喝采を送ったのが、反習近平国家主席の中国国民たちだ。
「倒壊現場の写真をメディアが大きく伝えたため、すぐにインターネットで拡散されました。中身が“がらんどう”な習近平独裁政権が、同じく暴君だった秦始皇帝像のように、突然吹き飛ぶことを願って拍手喝采したのです」(在日中国人ライター)
チンギス・ハーンの動画を巡って逮捕された19歳
昨年12月、中国内モンゴル自治区の裁判所は、元朝の基礎を築いたモンゴル族の英雄、チンギス・ハーンの画像を何度も足で踏みつける行為を撮影した動画を、中国の動画サイト『快手』に投稿した19歳の男性に、懲役1年の実刑判決を下したことがある。ハーンはモンゴル族の英雄ではあるが、漢族(中国人)からみれば侵略者にすぎない。それがなぜ罰せられるのか。
「中国の検閲当局が、インターネットからディズニーキャラクターの“クマのプーさん”を締め出すという一件がありました。丸っこくてふっくらして愛らしいプーさんの外見が、習主席に似ているとソーシャルメディアで評判になったため、検閲当局はプーさんの名前や画像の投稿をブロックしたのです。こうした中国の検閲は、国家指導者をからかう内容を許さないというだけではありません。この世界中で愛されるキャラクターが、国家主席のオンライン代名詞になってしまうのを防ぎたいのです。チンギス・ハーンの一件も同じで、習主席に置き換えられることを恐れているのです。19歳に、それも微犯罪で実刑を下すのは独裁政権ならではといえるでしょう」(同・ライター)
始皇帝が没し、その子だった胡亥が後継皇帝となるが、やがて劉邦と項羽に攻め滅ぼされ、2世皇帝も殺害された。習主席もそうならないとは限らない。
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