「神事用大麻栽培」を厚労省が許可した背景

EN / PIXTA(ピクスタ)

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厚生労働省が都道府県に大麻栽培には慎重を期すよう通知するなか、伊勢神宮を抱える三重県が4月5日、新たに神事用の大麻の栽培を認める決定をした。栽培が認められたのは『伊勢麻振興協会』(同県伊勢市=2014年設立)。理事には県内の神社を束ねる県神社庁長らが名を連ねている。

大麻には“けがれ”を払う効果があるとされ、繊維を加工した『精麻』は、神職がお祓いに用いる祭具や神社のしめ縄などに使われている。

「実は伊勢麻振興協会などは2016年11月に『このままでは日本の大麻(麻)の栽培が途絶えてしまう』という危機感から、神事に必要な麻を確保したいと県に栽培免許を申請していました。しかし、2017年早々に不許可となっていたのです。理由は『薬物蔓延の芽を摘むため』と『盗難防止策が不十分』の2点が挙げられていました」(地元紙記者)

元来、日本の大麻は無害で大切にされてきており“有害な大麻”とは区別される。健全な日本の麻の伝統を守るという同協会の意図が、1年経ってようやく理解されたということなのだろう。

「麻は古くから衣服などに用いるため栽培されてきましたが、戦後、GHQの指摘で全面禁止になったあと、農家保護のために大麻取締法が制定され、免許制になりました。つれてピーク時の1954年に3万7000人以上いた栽培者は化学繊維の台頭で急激に減少し、2016年末で12道県の37人にまで落ち込んでいます」(伊勢麻振興協会関係者)

 

低毒性の品種もある

栃木県は全国最多の19農家に許可を与えており、国産の大麻繊維の96%に当たる2712キログラムを生産し、神事用や大凧の綱などに使われている。

「栃木県は1983年に幻覚作用などを引き起こす成分が少ない低毒性の品種『とちぎしろ』を開発している関係で、一部では盗難防止策から麻畑を囲むフェンスの設置を免除されています。無毒種を開発した理由は、過去に吸引目的での大麻の盗難が相次ぎ、農家が夜通しで見張りをする事態に発展したことがあるからです。そもそも無害な大麻の栽培を禁じても、薬物蔓延の芽を摘むことにはなりません。無害なら盗難にはそれほど気を使わなくてもいいのに禁止したのは、愚策以外の何物でもありません」(同・関係者)

厚労省は無害な大麻も有害な大麻も区別することなく、すべてをひっくるめて「恐ろしいもの」というイメージを植え付けるのに成功した。しかし、このままでは日本の貴重な麻栽培の文化は衰退し、近い将来消滅してしまうかもしれない。

 

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