エロスと暴力三昧!仁義なき戦いを超えた!? 映画「孤狼の血」

(C)2018「孤狼の血」製作委員会

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『孤狼の血』

配給/東映 5月12日より丸の内TOEIほかで全国公開
監督/白石和彌
出演/役所広司、松阪桃李、江口洋介、真木よう子、ピエール瀧ほか

この春、いや今年の邦画全体で見ても最大の話題作で、ボクはこの映画に惚れ込んで、もう試写を3回も見たほどの“孤狼マニア”を自称している。広島を舞台に、昭和も終わろうとしていた時代に勃発するヤクザ戦争、そして“暴力団より暴力的なダーティ刑事”が跋扈するバイオレンス・アクション! 原作は『仁義なき戦い』大好きで、それに影響を受けた女性作家・柚月裕子。監督が今をときめく刺激的映画得意の若手・白石和彌だもの。もう保証付き!

主演の役所広司が1990年代の主演作『シャブ極道』、『大阪極道戦争・しのいだれ』のころを彷彿とさせるほど大暴れする。最近はテレビドラマで誠実な役やCMでひょうきんな役が目立ったが、やっぱり“暴れる役所広司”はいいなあ。相手役の若き“正義派”刑事を演じる松坂桃李との丁々発止も絶妙で、ベテランからルーキーへのプロの技の“引き継ぎ”“受け継ぎ”を描く正統派バディ・ムービー。その小道具となる狼の紋章が入ったジッポ・ライターも効果的だ。

 

秀逸な役所の「行儀悪さ」

豪華キャストの中、初のヤクザ役の江口洋介が凄みを効かせれば、竹野内豊も負けじとイメージを覆す暴力マシーンのヤクザを熱演する。冒頭からの惨劇など全編“侠”とバイオレンスが充満するが、エロスもちゃんと発散させている。クラブの美人ママ役の真木よう子が、実にセクシー。ヤクザに色仕掛けで近づき、仇を討とうとするあたりの艶っぽさ。あるいは松坂桃李と深い仲になる薬剤師の阿部純子も濡れ場を見せる。さらには取調室で役所がエロい人妻役のMEGUMIとエッチするシーンとか、露出度は少なくても卑猥である。役所はファッションヘルスで風俗嬢のおっぱいを味わうシーンもあり元気、元気。温泉場でのコンパニオンとヤクザの全裸乱痴気騒ぎもあり、行儀の悪さは天下一だ。

セリフだってエロい、ゲスい。特に助平で狡猾な組長役の石橋蓮司が発する「びっくりどっきりクリト〇スじゃ」は、前出『仁義なき戦い』の第2作で千葉真一がわめく「あれらはオ〇コの汁で飯食うとるんで」に匹敵するほどのザ・名セリフ。他にも“一発”“男根占い”“名器”“びちょびちょ”などなどお下品極まりないセリフの連発で、実に耳触りがよろしい!

エロスとバイオレンスの暴走ぶりに、世の良識派は「やりすぎだ」と眉を顰めるかもしれないが、ボクは「今の日本映画、やりすぎぐらいが丁度ええんじゃ」と反論したい。「平成の“仁義なき戦い”」の形容を超える逸品として、中高年世代の血を沸騰させるはずだ。

 

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