訴訟沙汰?飲食店の悪評は「名誉毀損」にあたるのか

訴訟

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日常的に多くの人が、ブログなどのSNSに飲食店での食事の感想や写真を掲載している。また、グルメ情報サイトのなかには、ユーザーが自由に感想を投稿できるところもある。

こうしたSNSやグルメ情報サイトなどの評判は、いまや飲食店の人気を大きく左右する。

《おいしかった》というポジティブな書き込みなら飲食店にはうれしい限りだが、必ずしもそうとは限らない。ネガティブな評判もすぐに広まってしまう。

大阪で居酒屋を経営しているFさんは「食べ歩きのブログに悪評を書いていた女性に、削除依頼のメールを出したが応じてもらえなかった」と肩を落とす。Fさんは「客足が落ちるのが心配」だと話す。

ひと言で悪評と言ってもさまざまあるが、法的にはどの程度まで許容されるものだろうか。インターネット関連の法律に詳しい東京都内の弁護士は次のように語る。

「ブログ等の書き込みについて、損害賠償請求ができるか否かについてですが、単に感想などを書き込んだ程度では難しいです。判例でも、物事の価値、善悪、優劣についての批評や論議などは、意見ないし論評の表明に属するとされています。批評を書き込んだだけでは、人身攻撃に及ぶような意見・論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉毀損等の責任を追及することはできないとされています。料理について批評されただけであれば名誉毀損には当たらず、プロバイダに削除依頼をしても応じてもらえないでしょう」

 

侮辱に該当する書き込みは削除請求可能

料理の感想というのは個人的な味覚によるもので、確かに悪意の存在を特定するのは難しそうだ。では、営業妨害になるような悪質な書き込みはどのようなものだろうか。

「例えば、《あの店の料理には違法な化学調味料が入っている》とか、《あの店の店長には犯罪歴がある》などと、虚偽の事実を挙げて店の評判を落とすような書き込みがあれば、それは名誉毀損に該当します。また、正当な意見や論評と言えないようなひどい悪口の書き込みがあれば、侮辱に該当します。名誉毀損や侮辱に該当するような違法性のある書き込みであれば、プロバイダに削除依頼をして応じてもらえる可能性もあるし、訴訟によって削除を請求することも可能です」(同・弁護士)

実際のところ、名誉毀損や侮辱には当たらなくても、店の評判を落とすような書き込みは少なくない。それで苦労している飲食店も多いようだ。現場の努力で評判を上げていくしかないだろう。

「飲食店情報サイトではステマ(ステルスマーケティング)も問題になっています。そういうサイトへの書き込みは、そもそも書き込んだ人が本当にその店で食事をしたのかどうかも不明であり、ステマの温床になりがちです。ステマは一般には自分に有利な書き込みをするものですが、逆にライバル店の悪評を書き込んで優位に立とうという店があっても不思議ではありません」(同・弁護士)

日本がインターネット社会として成熟していくために、ネットユーザーのリテラシーも問われている。いいかげんな情報と正しい情報を見分ける目が必要であり、情報を過信せずに、自分の五感で確認することも重要だ。

 

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