初日の2日前に、白鵬は満31歳の誕生日を迎えた。31歳という年齢は、白鵬が尊敬する大鵬、そして柏戸も引退している年齢だ。
白鵬ももう決して若くはない。このことは最近、引退後のことについて話すことがやたら多くなったことでも分かる。
「とりわけ、引退すれば即必要になる一代年寄について話すことが多くなりました。この場所前も、テレビの密着ドキュメンタリー番組の中でそのことに触れ『そういう(ことを語る)時期に来ていますから』と話しています。自分でも、引退までそう遠くはない、と思っているのではないでしょうか」(担当記者)
それを窺わせる動きがこの場所前もあった。白鵬といえば、土俵の中だけでなく、外でも相撲界を代表する顔役だ。平成22年3月から前任者の朝青龍のあとを継いで力士会の会長になり、さまざまなイベントの出席や協会首脳との折衝などに当たってきた。
それを「もう十分やってきましたから。残りの2名の横綱に引き継ごうかなと持っている」と話し、この夏限りで退任する意向を示したのだ。
これは身辺整理の始まりだ。そんな気力の萎えを見せつけるように、今場所も初日の宝富士戦に敗れ、「空回りしちゃいました」と首をひねっていた。