アラン・ドロンの「お相手」金髪セクシー歌姫の悲惨

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映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ダリダ あまい囁き』

配給/KADOKAWA 角川シネマ有楽町ほかで5月19日より全国公開
監督/リサ・アズエロス
出演/スヴェヴァ・アルヴィティ、ヴァンサン・ペレーズほか

ダリダとは、1960~1980年代にかけて人気抜群だったフランスの国民的パツキン歌姫美女。かの映画スター、アラン・ドロンとの『あまい囁き』が日本では有名で、このデュエット曲は細川俊之と中村晃子でカバーされ「♪パローレ、パローレ」と歌ってヒットしたものだ。ボクは大学時代にリアルタイムで聴いていて、少し懐かしい。

そのダリダがどういう人生をたどったのかは知らなんだので興味は尽きなかった。ダリダ、お前はダリダ? なんてね。

もちろんお目当てはダリダ演じるスヴェヴァ・アルヴィティ。覚えにくい名前だけど、パツキン好きはこの際覚えてほしい。『ベサメ・ムーチョ』を歌う様なんざ艶っぽくてたまらんゾ。ミス・エジプトだったご本尊ダリダ(イタリア移民の子)に勝るとも劣らないエキゾチックな美貌がダントツで、彼女の一挙手一投足を見ているだけで飽きない。

 

藤圭子を思い出させる切なさ

1960年代フランス、その抜群の美貌と歌声で社会現象を巻き起こし、サクセスの階段を上りつめたダリダ(スヴェルヴァ)だったが、ラジオ局の芸術監督の夫との結婚生活は破綻する。画家との不倫、人気歌手、年下の青年、そして自称伯爵の色男など恋愛遍歴を重ねていくが、心は常に傷ついていた……そして最悪の選択を。若くして脚光を浴び、国民的歌手となり、最後は自殺して人生の幕を閉じる、というと日本では藤圭子を思い出してしまうね。

やっぱり、ヒロインのスヴェヴァ嬢に圧倒される。大柄感あふれるナイスボディーに、肉厚の唇がダイナミックで鋭角的なルックス。往年のソフィア・ローレンをもう少し柔らかくした感じが少し哀愁を帯びていてたまんない。顎がちょいと割れ気味な“尻顎”だし、少し巻き舌な声もセクシーで聞き惚れるねえ。こういうパツキン・グラマーが好きな人にはド・ストライクゾーンだ。

ダリダが男運が悪いのは、彼女のせいか、それとも自意識過剰や束縛タイプの男たちがいけないのか。男たちが次々と死を選ぶのも彼女のせいか。だいたい“魔性の女”扱いされるのだが、彼女もまた死の誘惑に駆られてしまうわけ。早くに父を亡くし、子供を産めない体になり、夫と子供との幸せな結婚生活も実現できず、寂しさと哀しみに彩られた素顔のダリダに同情するね。露出的にはすごくはないが、グラマラスな肉体がのたうつ刹那のベッド・シーンも、その後必ず訪れる不幸の陰がちらついて、何だか見ていて切なかった。

 

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