全裸も辞さず清純派を脱皮…在りし日の星由里子を偲ぶ

(C)まいじつ

作品目『千曲川絶唱』

松竹/1967年(DVD発売中)
監督/豊田四郎
出演/北大路欣也、星由里子、田中邦衛、いしだあゆみほか

同じ5月16日に亡くなった西城秀樹さん(享年63)の陰に隠れるように新聞・テレビの報道量も少なかったが、星由里子さんもまた逝ってしまったのである。肺がんのため京都市の病院で74歳の生涯を閉じた。彼女もまた“昭和を代表する存在”だった。

特に、われわれ中高年世代には、加山雄三の『若大将』シリーズ(1961年~)での“若大将”の恋人・澄子役が記憶に残る。毎回設定は違っても役名は同じなのがご愛嬌で、例によって田中邦衛演じる“青大将”が横恋慕して騒動になる、というパターンの中で「何てキレイな人なんだろう」というのが子供心に芽生えた率直な想いだった。当時、東宝は浜美枝、田村奈巳とともに『東宝スリーペット』の“三人娘”として売り出していた(あのころは何でもトリオで売るのが流行っていたっけ)。

個人的には一番グラマーな浜のファンだったが、美人度では星が圧倒的だった。ちなみに星と浜は同い年で、共に東京都出身。さらに言えば、星の出身校である精華学園高校の1年後輩には吉永小百合がいた。

他に怪獣映画、コメディー、文芸作など幅広く活躍したが、“清純派”のお嬢さんイメージは常に付いて回った。それを脱皮しようとしたのか、1967年に公開された本作は衝撃的だった。

 

余命少ない男性に激しい愛を捧げる役を熱演

白血病にかかったトラック運転手・五所川(北大路欣也)は上京して、病気の対策に奔走するが、逃れられぬ運命を知り、絶望的な気持ちで富山に戻る。そんな彼を待ち続けていた看護師の奈美(星)は、1人の女として、余命いくばくもない男性に全身全霊で激しい愛を捧げてゆく…という、いわば“難病もの”ではあるが、星はここで“清純派”のイメージをかなぐり捨てて、全裸もいとわず、激しく愛し合うラブ・シーンなどに挑んだのだ。

このときまだ芳紀24歳! 瑞々しく美しいその裸身が眩しかった。この熱演で同年のミリオン・パール賞に輝いたほど。その後、北大路とは『北穂高絶唱』(1968年)、『津軽絶唱』(1969年)と“絶唱シリーズ”とも言うべき共演が続き、好評を博した。そんな星の勇断に影響されたのか、同じく東宝スリーペットの1人、浜も1968年の『砂の香り』で全裸を披露し、イメージ・チェンジを図ったことも記憶に値する。

近年まで『科捜研の女』シリーズなどのテレビドラマにも精力的に出演し、病魔の影など伺い知れなかったというのに……そんな彼女の若き日のヌードも辞さずの熱演を目に焼き付けながら偲びたい。

(映画評論家・秋本鉄次)

 

【あわせて読みたい】