朝鮮半島の南北融和を進めたくない中国の本音

習近平 中華人民共和国  国家主席

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アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩党委員長との歴史的な会談は、どうやら予定通り6月12日にシンガポールでおこなわれそうだ。

今回の米朝会談では、朝鮮戦争の休戦状態が解消され、名実ともに戦争終結も織り込まれている。それは南北の融和をもたらすことになり、現在以上に朝鮮半島の一体感は強まることになる。あるいは本当に統一朝鮮が誕生するかもしれない。

「日本にとっては“反日度数”が倍になり、北朝鮮にも1兆円強の“戦後賠償”をしなければならないのでデメリットばかりが強調されますが、もうひとつの側面があることも見逃せません。もし韓国と北朝鮮が統一されれば、朝鮮半島と中国東北部に住む朝鮮族、あるいは北朝鮮への軍事援助を北京の中央政府に背いて商売にしてきた『瀋陽軍区』が合流するかもしれないのです。もともと朝鮮民族はプライドが高く、独立心は強いのですが、国家としての実力が伴わない。そのために常に中国の顔色を伺いながら、中国の意思を忖度して暮らしてきたという歴史があるのです。それが、中国朝鮮族や瀋陽軍区にいる朝鮮族兵士が合流するとなると、これは中国にとって南のベトナムと東の朝鮮に挟撃されるという事態となるのです。そもそも朝鮮戦争に参戦した人民義勇軍(実質的な中国軍)の大半は朝鮮族だったのですから」(安全保障アナリスト)

 

南北融和の流れに焦りを感じる習近平

日本と中国は海を隔てていたために交流が少なく、昨今は中国の反日や日本の嫌中が喧伝されるが、その感情は上っ面だけのものだ。ところが、南北を分断している“資本主義VS共産主義”というイデオロギー対立を外してしまえば、南北朝鮮民族に共通するのは歴史的な中国への憎悪と憎しみだけだ。

「中国の習近平・国家主席は、南北融和の流れにかなり焦っている。それは、アメリカにとっては核の脅威だけが問題ですが、中国としては“うっとうしい隣人との歴史”を思い出してしまうためです。中国東北地方である延辺自治区に多くの朝鮮族が住んでいるように、油断していると朝鮮半島の人々が過去のように中国に移り住んでくる事態も想定されています」(国際ジャーナリスト)

中国にとって朝鮮は嫌な隣人だ。朝鮮半島の南北分断が解消されることを最も避けたいのは中国なのである。

 

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