土地神話も崩壊!九州より広い面積が「所有者不明」

土地

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日本の“土地神話”が崩壊しようとしている。土地を捨てる法案について、法務省や国土交通省が具体的な検討を進めており、来年2月にも『骨太の方針』に盛り込まれる予定だ。バブル時代のころにはとても考えられなかった事態と言っていい。

「民法には『所有者のない不動産は、国庫に帰属する(第239条)』との規定があるものの、所有権を放棄する具体的な手続きは定められていません。財務省によると、相続人全員が相続放棄して、事実上所有者がいなくなって国が引き取った土地は、ここ数年で年間に30~50件ほどしかないのです。所有者不在の土地は、家庭裁判所を通じて選任される『相続財産管理人』が市場で売却しようとしますが、どこも誰も買い取ることがなければ宙に浮いたままで、道路の拡幅を妨げたり防災工事に着手できなかったりする“実害”を日本中に及ぼしているのです」(東京都内の司法書士)

有識者による所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)の推計では、こうした所有者不明の土地の総面積が九州より広い約410万ヘクタールに達している。

「所有者不明の土地問題に加えて、さらに“捨てマン”という問題もあるのです。国土交通省の推計では、築30年以上の分譲マンションは今後20年で約3倍の528万戸に増えます。日本のマンションは、修繕積み立てや建て替えなどの意思決定が区分所有するオーナーたちの合意のもとにおこなわれ、行政が介入する仕組みはありません。このため、老朽化対策を決められないまま“負動産化”を止められなくなる事態が懸念されています」(経済ライター)

 

海外での「負動産」問題対策

フランスでは、住民の安全確保や公衆衛生のために“負動産”問題に行政が介入することが義務化されている。アメリカでは2007年ごろ深刻化したサブプライム(低所得者向け)ローン問題のあとに空き家が大量に発生したことから、連邦政府は空き家解体などに使える巨額の助成金を創設し、全米で100以上ある『ランドバンク』をその受け皿にした。

ドイツの民法には《所有者が放棄の意思を土地登記所に表示し、土地登記簿に登記されることによって、放棄することができる》(928条1項)と明記されていて、放棄された土地をまず先占する権利は《州に帰属する》(同2項)とも定められている。

この問題は、自治体が介入するとなると税負担がかさむ。人口減が進む地方自治体にとってはダブルパンチになりかねない。

 

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