「世界が3人の男女だけだったら?」という映画『死の谷間』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『死の谷間』

配給/ハーク 6月23日より新宿武蔵野館ほかにて公開
監督/クレイグ・ゾベル
出演/マーゴット・ロビー、クリス・パインほか

マーゴット・ロビーといえば、今やハリウッドきっての美人女優の1人でボクのごひいき。パツキンだしね。『スーサイド・スクワッド』(2016年)、『アイ、トーニャ史上最大のスキャンダル』(2017年)など派手な役柄がその美貌に映えるのだが、今回はほとんど、すっぴん! それでも美人は得だね。彫の深い端正な美貌がよけい際立つ。まあ、このSFサスペンスが、核汚染後の地球で生き残った最後の女かという設定なので、お化粧どころじゃないんだろうが…。

戦争か事故か判別しないが、とにかく核汚染でほとんどの人間が死に絶えた世界。唯一汚染を免れた“奇跡の谷”で、アン(マーゴット・ロビー)は、愛犬を唯一の友とし、厚い宗教心を寄りどころに、孤高を保ちながら暮らしていた。そんなある日、彼女の元に避難場所を求めて放浪していた黒人系の科学者のジョン(キウェテル・イジョフォー)が現れ、共同生活をするようになる。しかし、今度はそこに地下鉱山で働いていて難を逃れたという美男子のケイレブ(クリス・パイン)がやってくる。女1人、男2人の世界は、不穏な空気を孕んでゆくのだった。

 

作品内には「宗教的啓示」も

“すっぴん”マーゴットの魅力は、色気も何もないはずの防護服姿で、人っこ一人いない町に行き、食料を調達する冒頭のシーンで発揮される。ボクは“作業服美女フェチ”のケがあるので、こういうゴツい服を着た美女にソソられるのよ。ジーンズに迷彩服の姿もイイね。キャップの後ろからポニーテールが顔を出す、あたりもステキだぜ。放射能除けのため入念に体を洗う場面ではセミヌードに。このあたり、「死の谷間」より“胸の谷間”が気に掛かる、ってね。

後半は、後からのチン入者のクリス・パインとねんごろになるのだが、やっぱりイケメンがいいのか、と毒づきたいところ。先に着たジョンはもう男として“人畜無害”と言っているので仕方ない。お互いに見つめ合い、濃厚なキスでお互いの唇をむさぼり、もう辛抱できないとばかりに、そそくさと衣服をお互いに脱ぎ、全裸でカラミ合うのだが、マーゴットの“胸”そのものは見えないままで画面が切り替わるのは残念というほかはないね。

『世界が百人の村だったら』というのがベストセラーになったが、こちらはさしずめ『世界が3人の男女だったら』というべきか。宗教的啓示も含まれているが、宗教心が紙より薄い人は、マーゴットのすっぴん美人ぶりと力強いヒロイン像を楽しむべし。

 

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