ストレスを抱える熟女妻を「タイタニック」のヒロインが熱演する映画

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『女と男の観覧車』

配給/ロングライド 丸の内ピカデリーほかで全国公開中
監督/ウディ・アレン
出演/ケイト・ウィンスレット、ジム・ベルーシほか

傘寿を超えても意気軒昂、年1本平均コンスタントに人間クサい悲喜劇を撮り続けるベテラン名匠ウディ・アレン。その名人上手の噺家のような語り口は絶品で、今回は、かつて世界的大ヒットを放った『タイタニック』(1997年)のヒロインを演じたケイト・ウィンスレットを起用した。彼女はその後、大人の女優になってオスカーまで手にする実力派女優として大成。すでに四十路のウインスレットに、この1950年代の遊園地を舞台にしたストレス熟女妻を演じるに相応しいと見たからだろう。

1950年代、ニューヨークの外れにあるコニーアイランド、ここの遊園地のレストランで働くジニー(ケイト・ウィンスレット)は、再婚同士となる夫のハンプティ(ジム・ベルーシ)には愛を感じていない。悩みはまだ幼い息子の放火癖、秘密はビーチ監視員の青年ミッキーと不倫関係にあること。そんな中、夫の娘で5年間音信不通だったキャロライナ(ジュノー・テンプル)が現れ、何とミッキーとたちまち恋仲になり、ジニーのストレスは頂点に達する…。

 

観覧車がアラフォー既婚女性のストレスを象徴

何と言っても魅力は、ケイト・ウィンスレットの豊満な肉体だろう。かつての『タイタニック』でも、そのむっちりとした“どすこい体型”に近いボディーとド迫力のヌードが話題となったもので、待望のオスカーに輝いた『愛を読むひと』(2008年)でもド迫力ヌードを披露したものだ。ひょっとして“脱ぎ魔”か。今回も青年との不倫シーンで、ヌードありか、と固唾を呑んだものだが、あっさり肩透かし。「私、ここで脱いでもいいんですけど…」(ウィンスレット)、「い、いや、その必要はないよ」(アレン)と言う会話がなされたのか否か、は不明だが、ここでは着衣エロスに徹する。

「遊園地なんか大嫌い」とボヤき、偏頭痛に常に悩まされる場末の安っぽいウェイトレス制服姿の彼女にソソられる。夫の連れ子のアバズレの若い女なんざに負けないわ、とばかりに髪を赤毛に染め、精一杯化粧をする姿も熟女の魅力たっぷりだ。ホルンスタイン級の胸の谷間の持ち主の彼女の“熟成肉特上カルビ”のごとき、貪婪な肉体! その熟女臭にむせ返りそうである。

タイトルにある“観覧車”は、大きく華やかだけど、どこにも動けないもの…アラフォー既婚女性の強烈なストレスを象徴する存在として圧倒的だ。アレン翁の才能も、ウィンスレットの熟れた肉体も衰えを知らない。

 

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