イラン「核兵器開発」で「原油輸入停止」再び日本経済に大打撃か

イラン核開発

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2018年6月26日、トランプ政権は、日本などに対して11月4日までにイランからの原油輸入を停止することを要求した。これは、4月30日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がイランが核兵器開発計画を有していたことを証明する大量の文書を入手したとを発表したことに発する。これによって、中東情勢に新たな火種が生まれ、日本経済にも影響が出ることになる。

問題の機密文書は、約5万5000ページに及ぶ核開発関連の文書や183枚のCDロムにデータが入ったものだ。イスラエル諜報特務庁(モサド)が1月に密かに入手したものだという。

「テレビを前にネタニヤフ首相は、入手した全文献を棚に積み重ねて『イランは核兵器開発計画がなかったと表明してきた。2015年の核合意はイランのうそを基に成立したものだ』として、テレビカメラの前で『イランはうそをついた』と書かれたカバーをかけるといった派手なパフォーマンスをしました」(国際ジャーナリスト)

イランの核開発問題には、長い時間をかけて国家間のさまざまな思惑の中で調整が行われてきた。

「発端は2002年8月、同国反体制派の『国民抵抗評議会』が、国際原子力機関(IAEA)に、未申請の核関連施設であるイラン中部ナタンツにウラン濃縮施設、アラークに重水製造プラントがあると暴露したことに端を発し、その情報をアメリカ側が人工衛星を利用して確認したことから、核兵器開発疑惑が一気に国際問題化したのです。」(同ジャーナリスト)

その後2006年から米国主導の経済制裁が行われたが、イランもホルムズ海峡を封鎖するなどで対抗。この経済制裁で、イラクに1,000億ドル=約12兆円に投入していた日本は大きな打撃を受けた。

しかしイランに武器を売却したいロシア、イランに原子力技術を提供していたドイツの思惑、その後より深刻なIS問題の解決が必要になったアメリカの事情もあって、2015年7月に米英仏独中露6か国との協議で、イランの核開発能力を大幅に縮小する「歴史的な合意」に至った。

 

11月4日まで、というトランプの思惑

しかし、経済制裁の解除は、人口8000万人の大国イランの復活も意味する。これはイランと対立するイスラエルにとって脅威だ。

ネタニヤフ・イスラエル首相のイラン批判の背後には、単に核開発問題だけではなく、イランがシリアのアサド政権を軍事支援し、レバノンやイエメンでも親イラン派武装勢力を支援していることにイスラエル側が強い警戒心を持っていることがある。

また、2015年の縮小合意の実現は当時のオバマ政権によって実現された。しかし、現アメリカ大統領のトランプ氏はこの合意に以前から「史上最悪」の合意だと批判的だったが、今回の機密文書発覚を根拠に5月8日に2015年の合意を破棄すると宣言。これに対してEUは合意の維持を確認した。

今回のトランプの原油輸入停止要求は、無理矢理にでも、EUや日本を従わせようというものだ。

「11月4日という期限設定には裏があって、11月6日の中間選挙までに自分の業績としたいトランプの次期大統領選に向けた思惑があります」(同ジャーナリスト)

国際政治は魑魅魍魎であふれかえっている。

 

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