うっかり金正恩のクルマを「追い越して」しまった北朝鮮国民の末路

北朝鮮

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

北朝鮮から韓国へ亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の自叙伝『3階書記室の暗号』には、北朝鮮の“金王朝”の下半身スキャンダルまで暴露されている。

例えば金正恩党委員長の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長の粛清を巡っては、1万人あまりが連座させられて粛清にあったとされるが、そのなかには張氏の“愛人”とみられた何人もの女優や歌手が逮捕され、姿を消している。太氏は同著のなかで正恩夫人の李雪主(リ・ソルジュ)も卒業したエリート女学院、金星学院の校長が《「中央党5課」に選抜された中学生たちを張成沢の性の玩具として差し出したとの理由で逮捕された》という記述まである。

今春、南北交流の一環として韓国にやってきた金星学院生やOGたちは、当局により厳しいチェックを受けるが、別の意味で“管理”される少女たちもいる。それが“5課対象”と呼ばれる学生たちだ。同課は“喜び組”などを選抜・管理する部署だ。

また《労力英雄の称号を受けたオボンサン管理所の所長も拘禁された。張成沢が遊び相手にしていて殺してしまった女性たちを焼いて闇に葬った嫌疑からだ》との記述もある。

オボンサン管理所というのは、火葬場や共同墓地を管理する組織だ。張氏に死刑を言い渡した特別軍事法廷の判決は、同氏が《数多くの女性と不倫関係にあり、麻薬を服用していた》と指摘していた。

死刑に値する罪状を創作することなど造作もない北朝鮮の国家体制なので、割り引いて聞かなければならないが、ある意味で正恩氏の似たような行状を覆い隠すためのオブラードとの見方もできるだろう。

 

うっかり正恩委員長の車を追い越した人間の末路

実際、正恩氏の“高級ベンツ”を追い越した北朝鮮軍師団長が、悲惨な末路をたどったという恐怖話も漏れ伝わっている。

師団長が搭乗していたのは排気量3275ccのSUV車『パラディン』で、この車種は中国の自動車メーカーの東風汽車と日本の日産自動車の合弁会社が生産しているものだ。北朝鮮は2007年、この車を300台輸入し、軍の師団長と師団政治委員たちに与えた。

「師団長の車に追い越されたベンツのS600が行先をふさぎ、車から若者が顔を出すと師団長と運転兵をひとにらみして何も言わず去って行ってしまった。ベンツは大臣クラスの党書記ですらS280止まりです。それをはるかに越える高級車に乗っているのは誰か。それを想像した2人はすっかり固まってしまったといいます。翌日の軍総政治局の会議場に、その師団長の姿はありませんでした。金正日総書記の後継者となることが決まった1年後の話です」(北朝鮮ウオッチャー)

人生はいつ何が起こるかわからないが、北朝鮮ではいかなるときも油断はできないと分かるエピソードだ。

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