ついに北朝鮮・崩壊の第一歩となるか「米朝会談の大敗北」

金正恩

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

先の米朝首脳会談で、アメリカは米韓軍事演習を停止するなど大きく譲歩した。さらに、ドナルド・トランプ大統領は金正恩政権に対する“安全の保証”までも約束している。

これに対して北朝鮮は「朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力する」と述べたにすぎない。あとはミサイルエンジンの試験場を破壊するとの“口約束”がなされたと伝えられているだけだ。

一見すると、北朝鮮がアメリカから多くの譲歩を引き出し、外交的に優位に会談を進めたかのような印象を与えるが、北朝鮮国内では全く違うのだという。

「国内の一般読者には、北朝鮮側の報道が外交失敗であるかのような印象を与えてしまっています。皮肉なことに、報道に接した多くの北朝鮮上位層は『譲歩させられたのは北朝鮮だ』と受け止めているのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 

「核保有国」という地位を手放そうとしている

金委員長とトランプ大統領による首脳会談の予定が朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』に初めて掲載されたのは5月のことだ。マイク・ポンペオ米国務長官の訪朝を伝える記事で、同記事中に金委員長が北朝鮮に対する『敵対行為』の罪で拘束されていた3名のアメリカ人に恩赦を与えたと報じられている。

「米朝首脳会談について報道を控えてきた北朝鮮メディアの姿勢は、6月11日を境に一変しています。この日の労働新聞は、アメリカ大統領との歴史的初会合に向け、シンガポールへと飛び立つ正恩委員長について、驚くほど詳細な記事を掲載しています。6月12日付の労働新聞は、現職のアメリカ大統領に関するものとしては1946年の創刊以来、最も好意的な報道内容となっていました。トランプ大統領の名前は《アメリカ合衆国大統領》という完全な肩書とともに《ドナルド・J・トランプ》とフルネームで記されていました」(同・ウオッチャー)

つい数カ月前に《狂った老いぼれ》と呼んでいたトランプ大統領に対して、まるで真逆の扱いだ。それゆえに、会談の内容が報じられたときに北朝鮮国民は次のように感じたのだという。

「一連の首脳会談について、他の情報源を一切持たずに労働新聞だけを読んでいたとしたら、普通はこう感じるのが自然です。『米韓との交渉の結果、北朝鮮は“宝剣”である核兵器を手放し、核保有国という“世界で最も誉れ高き地位”を手放そうとしている』――こう感じたことでしょう」(同)

核を放棄し、核保有国の地位を明け渡すような決断を下せば、北朝鮮の支配者層から金委員長への反感が広まるのは間違いない。現に、北朝鮮情報の専門サイトは、米朝共同宣言に対して国民から不満の兆候が出始めていると伝えている。

確かに、北朝鮮は米朝首脳会談で大きな成果を手にしたが、交渉過程の大部分を報道していないという当初の決断が裏目に出たようだ。金委員長が軍を完全掌握しているとは見えず、その身にはもしかしたら危険が近づいているかもしれない。

 

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