芥川賞が大ピンチ!受賞候補作に「パクリ疑惑」が噴出

(C)bee / PIXTA(ピクスタ)

純文学の新人小説家に与えられる芥川龍之介賞、通称『芥川賞』。古くは石原慎太郎や大江健三郎、村上龍らが受賞し、これを機に大躍進を遂げている。2015年には、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属でお笑いコンビ『ピース』の又吉直樹が『火花』で受賞し、大きな話題となったことは記憶に新しい。

そんな、無名作家が著名作家の仲間入りを果たすための登竜門である芥川賞に“ある疑惑”が持ち上がっている。

事の発端は、芥川賞候補作として文芸誌『群像』(講談社)で新人作家の北条裕子氏のデビュー小説『美しい顔』が発表されたことにある。この作品は2011年に発生した東北大震災をモチーフにしており、被災した少女の視点から地震被害の凄惨さを描いた作品だ。あの震災を体験した人にも、していない人の胸にも大きな衝撃をもたらす作品として話題を呼んでいた。そんな衝撃作の一部に、2011年に発売されたノンフィクション作家、石井光太氏の『遺体―震災、津波の果てに―』(新潮社)を盗用したのではないかという疑惑が出ているのだ。

 

それぞれの出版社が対応を発表

比較する意味で、その“疑惑”の一部を引用してみよう。

『遺体』
髪にはそれぞれの遺体につけられた番号が記されており、その横に名前、性別、身長、体重、所持品、手術跡などわかっている限りの情報が書かれているのだ。
『美しい顔』
それぞれのリストには番号がつけらえていて、その横に名前、身長、体重、所持品、手術跡と言ったことが書いてある。今現在でわかっている限りの情報だという。

『遺体』
遺体から零れ落ちた砂が足元に散乱して、うっすらと潮と下水のまじった悪臭が漂う。
『美しい顔』
大きなビニール袋をかかえてすれ違う警察官からうっすらと潮と下水のまじった悪臭が流れてくる。

『遺体』
毛布の端や、納体袋のチャックからねじれたいくつかの手足が突き出している。
『美しい顔』
あちらこちらで毛布の端や納体袋のチャックから、ねじれたいくつかの手足が突き出していた。

確かにこれらを読む限りでは、表現こそ変えられているものの、記載内容が似通っていると言われても仕方ないように見える。

芥川賞を主催する講談社は、「(北条氏が)執筆の際、『遺体』や、被災者らの手記をまとめた『3・11 慟哭の記録』(新曜社)などを参考にした部分があった」と参照としたこと自体は認めているものの、それらが「作品の根幹に関わるものではなく、著作権法に関わる盗用や剽窃などには一切あたらない」とし、「評価を広く、読者と社会に問う」とのこと。そのため、近日中にウェブ上で『美しい顔』の全文を公開すると発表した。

それに対し、参照された『遺体』の出版元である新潮社側は、「単に参考文献として記載して解決する問題ではない」とコメントを発表し、争う姿勢を見せている。

 

北条氏は現地で取材をしていない

とりあえずは、近日中に行われる予定の全文公開を待ちたいところだが、今後事態が泥沼化することは必至だろう。

渦中の北条氏は「東日本大震災の被災地に行ったことはない」と説明しており、執筆に当たって現地取材を行っていないことが判明している。

これを受けてネットユーザーの間からは批判の投稿が多く上がっている。

《せめて取材に行ってりゃ似るのはまだ分かるがな…》
《それならコピペしかできねーのもうなずける》
《本屋大賞の方がマシなレベル》

かつては権威ある賞として崇められた芥川賞が、なぜこのような批判の対象になってしまったのか。芥川先生が草葉の陰で頬杖突きながら嘆息している姿が目に浮かぶようだ。

 

【画像】

bee / PIXTA(ピクスタ)

【あわせて読みたい】